19580110-05

Lover (Rodgers - Hart)(7分58秒)



【この曲、この演奏】

 1932年の映画「今夜は愛して頂戴ナ」でジャネット・マクドナルドが歌った曲で、ロジャーズ - ハートの代表曲の一つで、多くの歌手が取り上げています。(資料14)

 コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションと1960年7月1日の自分のバンドでのジャズ・ギャラリーでのライヴがあります(資料06)

 1960年のライブは私家録音があるようですが、世には出ていません。この時はピアノにはマッコイ、ベースにデイヴィス、そしてドラムはラロカでした。

 しかし随分と高速で演奏するもんだ、との感想です。思いっ切りぶっ飛ばすコルトレーンに、周りが引っ張られていく様子に、笑顔になりながら聴き入った演奏でした。



【エピソード、ビリー・テイラー】

 舞台裏のコルトレーンで印象的だったのは、次に演奏する曲を心の中で復習しているといった感じで、音を出さずに指をサキソフォンの上でなぞっていることだった。それはまるでパッドをつけて練習しているドラム奏者といった感じであった。次の曲を演奏する前には、彼はいつも音楽のことを考えていたのである。 ビリー・テイラー

 1954年から1955年の仕事に恵まれない時期のコルトレーンは、時々NYに出て行き、月曜夜のバードランドでのジャムセッションで演奏していた。この時期のビリー・テイラーはバードランドのハウス・ピアニストで、次から次にくるミュージシャンと共演するのが仕事であった。

 ビリー・テイラーのコルトレーンの印象は、「ときどき奇妙な表現のフレーズや聴きなれないコードを吹き、よく考えてみればそれは非常に彼らしいスタイルだった」とのものだ。

 休憩時間になるとコルトレーンとテイラーはよく近くの店でコーヒーを飲みながら、よく音楽の話をしていた。もっぱらコルトレーンがテイラーにコード進行について尋ねていたのであった。(資料01)



【ついでにフォト】

tp07014-017

2007年、アムステルダム


(2019年11月28日掲載)