Soft Winds (Benny Goodman) (13分46秒)
【この曲、この演奏】
ベニー・グッドマンが1939年に初演した曲で、アート・ブレイキーが取り上げたことで、ハードバップ期に取り上げられるようになった曲です。(資料14)
コルトレーンのこの曲の演奏記録は本セッションだけですが(資料06)、ガーランドはこの4年後にプレスティッジのレコーディングでこの曲を取り上げています。(資料08)
ガーランドが7分、コルトレーンが3分、そしてバードが2分のソロをとっていきます。
資料11にはガーランドのソロについて、「ソロイストのガーランドがスティームローラーのごとく段々と弾みをつけ、最後に力強いブロック・コードで(マッコイ・タイナーがその数年後よくやったように)コルトレーンの入場をお膳立てをする」とあります。
決してガーランドはコルトレーンの引き立て役ではありませんし、楽しく気分良く7分のソロを聴かせています。ただコルトレーンのソロになるとガーランドが実に控えめなバッキングなので、この意味からは確かに資料11指摘のような後年の演奏が垣間見れるものです。
コルトレーンがベニー・グッドマンの曲を演奏したのは、記録がある限りではこれだけのものです。そんな意味でも関心を持つものです。
【エピソード、1951年のフィラデルフィアにて】
1951年の始め頃(多分4月)、ガレスピーバンドを辞したコルトレーンは、家族が住むフィラデルフィアに戻った。既に従姉妹のメアリーもそこに住んでおり手狭であったため、コルトレーンは復員兵士の貸付制度を利用して、また母親が長年の家事手伝い仕事で貯めたお金と合わせて、家を購入した。
フィラデルフィアに住まいを得た後にコルトレーンは、グラノフ音楽学校に入学した。ガレスピーとパーシー・ヒースの推薦状があったこともあり、すんなりと入学できた。デニス・サンドルが音楽理論の教師となり、マシュー・ラステリからサックスのレッスンを受けた。その時のコルトレーンはテナー・サックスを持っており、練習も勉強も演奏も全てテナー・サックスに集中した。(資料01)
【ついでにフォト】
2004年、香港
(2019年10月29日掲載)