Bye-Ya (Thelonious Monk) (6分30秒)
【この曲、この演奏】
モンク作のこの曲ですが、モンク自身の演奏となると資料08にある記録では5回だけです。コルトレーンの演奏記録は、本ライブだけです。
15秒の拍手の後に、二度目のステージの幕開けとなるこの6分15秒の演奏が始まります。モンクならではの躍動感が溢れるこの曲を、カルテットが一体となってテーマを演奏しています。続いてはコルトレーンのソロとなり、それは快調な演奏で心が動くものです。会場にいる多くのかたが、この演奏でコルトレーンの存在を意識したことでしょう。この後にはモンクのソロで、彼の独特な世界が光っている演奏です。
素敵な演奏で、二度目のステージが始まりました。
【エピソード、テープの発見】
2005年に発売されたCDのブックレットに、このテープの発見の経緯について、国会図書館の Larry Appelbaum氏の寄稿文がある。氏は国会図書館の「Recording Lab Supervisor」との肩書の方である。
国会図書館では長年に渡りボイス・オブ・アメリカの取集品を、整理し目録を作り保管する作業を進めてきていた。2005年2月にデジタル化を待っているボイス・オブ・アメリカのテープに中に、「Carnegie Hall Jazz 1957」と書かれた幾つかのテープ箱に、私は目をとめた。その中には箱の裏側に、「T.Monk」と曲名と共に書かれたものがあった。私はそのテープを再生し、その演奏はモンクがコルトレーンと一緒に演奏してあるものだと分かり、私の脈拍は速まった。私はLewis Porter氏(資料06、07の共同編者の一人)と確認を進め、このテープはどんな形であれ一度も発売されたことがなく、また公になっていないことが分かった。
私は国会図書館で長年にわたって幾つもの貴重な録音を見つけてきたが、このモンクの録音はその中でも特別なものである。この発見を通じて私は、これらのテープを保管することがいかに重要なことであるかに、改めて気が付いた。だからこそ私達は、この仕事に愛情を注いで続けているのだ。
【ついでにフォト】
2013年、みなとみらい
(2022年3月16日掲載)