19571129-03

Crepuscule with Nellie
(Thelonious Monk)  
(4分26秒)



【この曲、この演奏】

 この年の6月25日のリヴァーサイドにおけるモンクのスタジオ・セッションで、この曲が演奏されました。その際はモンクの体調が思わしくなかったのですが、このカーネギー・ホールでは体調万全のはずのモンクの演奏です。記録が残っている限りでは、コルトレーンのこの曲の演奏はこの二日間だけですが、他の曲と同様にファイヴ・スポットでは何度も演奏したことでしょう。

 美しい気持ちが静かに流れるこの曲を、モンクのピアノだけでまずは2分間演奏しています。そして残り半分がカルテットでの演奏なのですが、それもモンクのピアノの色合いを増すための存在と言えるのでしょう。4分26秒の間中、モンクはアドリブを入れずにこの曲を真摯に演奏しており、特にエンディングでの美しさは筆舌に尽くし難いものです。


【エピソード、報道 その1】

 資料07によれば、このコンサートの報道の3件が、確認されているとのことだ。

 一つ目が日刊新聞紙 ニュー・ヨーク・タイムズ 1957年11月30日での、12ページにあるJohn S. Wilsonによるものだ。そこではガレスピー・バンドに特別参加したレイ・チャールズに関するものと、記者とモンクとの短い会話に関するものが主であり、コルトレーンについては何も触れられていなかった。ちなみにモンクに関する記事は、次の通りだ。

Mr. Monk, who is rarely heard in concert, made several of his oddly oriented, quixotic compositions glow with an eerie pianistic light.

日 本語に訳せば、「コンサートでは滅多にお目にかかれないモンクは、彼が作った彼独特の曲を、他では聴けないピアノ演奏によって、輝かせていた」となるのであろうか。

 「oddly」で「quixotic」な曲を「eerie」なピアノ演奏で輝かせた、この3つの英単語をどう訳すかが難しいところだし、この3つの単語がモンクの特徴と言えるのであろう。



【ついでにフォト】

tp13077-019

2013年、みなとみらい


(2022年3月13日掲載)