19570901-10

With a Song in My Heart (take 2, m)
(Lorenz Hart - Richard Rodgers)
(7分52秒)



【この曲、この演奏】

 このセッションでこの曲の2度目の演奏となり、これがアルバム「ソニーズ・クリブ」に収録されて、1958年に発売されました。ただし「スピーク・ロウ」と同じように編集されていました。土台はこのテイク2を使用し、そこにテイク1でのピアノ・ソロを追加したとのことです。(資料07)

 ただし、このテイク2で元々ピアノ・ソロがあったのか無かったのかなどの詳細は、資料07に記載されていません。

 さて演奏の構成ですが、基本線はテイク1と同様であり、フラーのトロンボーン・ソロの後にソニー・クラークのピアノ・ソロが追加されています。そしてテイク1にある、トロンボーン・ソロの後の4小節交換は省かれています。

 テイク1よりもテンポをあげて演奏しており、それによって勢いが増して良い演奏になっています。バードのトランペットが主役の演奏であることは同じですが、フラーのソロはテイク1よりも輝きを増しています。テンポが速くなっても乱れないコルトレーンも良いし、ソニー・クラークも存在感を示しており、編集ものながら良い出来となっています。



【エピソード、コルトレーン語録 その7】

 「ボブシールはトレーンに、このタイトル(”アラバマ”)は今日の社会問題を示唆しているのか、と訊いた。おそらく字面どおりの質問だったと思うが、コルトレーンはこう答えた。『音楽的には、私が心の奥底でみた何かを翻訳し、表現したものだ」。要約すれば、とにかく聴け、と。そして実際に聴いてみて感じるのは、内へと向かう穏やかで繊細な悲しみ。ほとんど絶望的にすら感じるが、ただ一人、エルヴィンだけは、何かの自然現象のごとく背後でうねりを上げる、それはふくよかなる稲妻のとどろきか雷雲か、はたまたジャングルの戦雲か」

 リロイ・ジョーンズ(アミリ・バラカ)著『コルトレーン・ライブ・アット・バードランド』(impulse! a-50)ライナーノーツより (資料04)


 特にインパルス!期のコルトレーンの演奏にリスナー(と言うよりは私)は難しい理屈をつけたがるものだが、「とにかく聴け」、これが大切なこと、そして感じることはその人によって異なるのが自然なこと、そういうことなのだろう。



【ついでにフォト】

tp12001-157

2012年 ペナン、マレーシア


(2022年2月15日掲載)