19570901-07

Speak Low (take 2, m)
(Ogden Nash - Kurt Weill)   
(6分47秒)



【この曲、この演奏】

 2度目の演奏となるこの曲ですが、資料07によれば、土台はこのテイク2、そこにテイク1からトランペットとピアノのソロを加えたとのことです。そのほかの情報、例えばこのテイク2では元々トランペットとピアノのソロはあったのかとのような事は、全くわからないです。この情報を他から得ていたならば眉に唾をして聞くところですが、信頼がある資料07、そしてマイケル・カスクーナからの情報とのことなので、正しいものだと思っています。

 さて演奏ですが、強いてテイク1との違いを言うならば、初めと終わりのテーマを演奏するコルトレーンと、その後ろで演奏するトロンボーンとトランペットの重なり合いが力強くなっていることがあげられます。

 バードとクラークの快調なソロが入ったこのマスター・テイクは、等身大のコルトレーンの懸命な姿を微笑ましく聴けるものです。ハードバップ期のこの曲の名演とも言えるのでしょう。

 ただし、テイク1をそのままマスターにしていても、バードとラークのソロをカットせずにマスターとしていても良かったのではと感じました。



【エピソード、コルトレーン語録 その5】

「コルトレーンの観衆に対する態度は驚くほど誠実だ。彼はひたすら最高の演奏をすることを望んでいる。そして自分の能力が出し切れていないと感じると、苛立つのだ。とある晩、ショウを観終えた観衆は一様に満足げだった。ところが、楽屋で汗だくのコルトレーンは延々とつぶやいていた。『今日の演奏にはグルーヴがなかった。グルーヴが得られるなら、一〇〇万ドル払っても惜しくない』」

ナットヘンフ著 ”ジョン・コルトレーン:終わりなき挑戦”、「インターナショナル・ミュージシャン誌」、一九六二年三月号

(資料04より)



【ついでにフォト】

tp11009-020

2011年 ペナン、マレーシア


(2022年2月13日掲載)