19570901-01

News for Lulu (Sonny Clark) (8分31秒)



【この曲、この演奏】

 ソニー・クラーク作の哀しい気持ちが伝わるこの曲ですが、コルトレーンの演奏記録は本セッションだけ(資料07)ですし、作者のソニー・クラークの演奏記録も資料08によれば本セッションだけです。

 さて演奏ですが、三管の憂いある音の重なりでテーマが演奏され、ソニー・クラークのソロに入ります。クラークがシングル・トーンで紡いでいくその演奏は、心に突き刺さるものがあります。その後に続くバード、コルトレーン、フラーのソロも気が入った演奏なのですが、ここではクラークのピアノの輝きの影に入っているように感じます。

 チェンバースのソロの後に三管でのテーマで演奏が終わりますが、その管楽器の重なりの力強さはなかなかのものです。

 資料07によればこの後にもう1回この曲が演奏されていますが、それは発売されたことがないようです。



【エピソード、本セッションについて】

 コルトレーンは7月にモンクとの四度目のスタジオ収録を行い、また同月からこの年の暮れまでモンク・バンドの一員としてファイヴ・スポットに出演しており、その中で8月にはプレスティッジでリーダーとしてのスタジオ収録を2回行った。そしてこの9月にはブルー・ノートのスタジオ・セッションへ2回の参加、そしてプレスティッジのスタジオ・セッションへ1回参加している。”超売れっ子”ジャズマンのコルトレーンと言っても、差し支えないだろう。

 このセッションは9月に2回あるブルー・ノート・セッションの最初のもので、コルトレーンのブルー・ノート・セッションへの参加は3度目となる。


 資料09にある、「3管編成ブルー・ノート・ハード・バップの名演。ソニー・クラークの代表作でもある」との題でのこのセッションの紹介記事を、引用する。

 「1957年はハード・バップの名作が次々と吹き込まれた年でもある。コルトレーンもプレスティッジ、ブルー・ノートといった当時のマイナー・レーベルにサイドマンとして多数参加している。このセッションはソニー・クラークのリーダーによる典型的なハード・バップ・セッションでもあるが、コルトレーンの斬新な奏法が他のハード・バッパー達にうまく融け混んでセッションに好ましい緊張感とエネルギーを与えている」



【ついでにフォト】

tp11007-061

2011年 ペナン、マレーシア


(2022年1月30日掲載)