Traneing In (John Coltrane) (12分33秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーン作のブルース・ナンバーであり、1960年代に入るとライブにおけるコルトレーンの重要な曲になります。
資料06ではスタジオ録音は本セッションだけですが、ライブでは11回の演奏記録が残っています。その11回は4つの時期に分類でき、一つ目は1960年7月のショウボートでの第1期コルトレーンバンドでの演奏です。二つ目は1962年11月の黄金カルテットでの欧州楽旅です。またこの欧州楽旅直前の10月には、ドルフィーを加えてのショウボートでの演奏記録があります。三つ目は1963年10月の黄金カルテットでの欧州、最後は黄金カルテットの終盤と言える1964年9月のフィラデルフィアでの演奏記録です。
多くは私家録音で終わっておりますが、1962年の欧州楽旅はブートレグで3回分、そして1963年の演奏はパブロで発売されております。
資料11で「12-12-8-12のブリッジ付きブルース」と説明されている本曲では、冒頭から3分間はガーランドの一人舞台です。このピアノトリオでの3分間では、まるでこれからビッグバンドの演奏が始まるかのような盛り上がりです。これを受けてから登場するコルトレーンは、最初はこの熱を冷静に受け止めながら、徐々に自分の世界を燃えさせていくものです。この燃え方ができることが、後年のライブでコルトレーンが何度もこの曲を取り上げていった理由なのかもしれません。
【エピソード、1947年 テナー・サックスで楽旅】
クリーンヘッドのバンドの楽旅で、コルトレーンはアメリカ各地を回った。特に南部と南西部は各地で演奏していた。しかしコルトレーンは重いテナーザックスが嫌いであった。アルトよりも多くの肺活量が必要だし、多くのエネルギーを使うからであった。
コルトレーンがテナー・サックスでの演奏を真剣に考え出すのは、この後のことであった。
【ついでにフォト】
2008年、みなとみらい
(2019年8月28日掲載)