Chronic Blues (John Coltrane) (8分11秒)
【この曲、この演奏】
この曲はコルトレーン作のマイナー・ブルースで、コルトレーンの演奏記録は本セッションだけであります。
重みを感じる演奏です。深い悲しみ、ぶつけようのない挫折感、誰もが持つことがあるそんな感情を、決して態度に出さないがそれが滲み出てくる、そんな人間の様子が私の前に浮かんできます。シハブから始まるソロは、そんな人間をそれぞれ描いています。こんな気持ちで聴くと、表現力豊かなコルトレーンのソロに続くスプロンのソロも、こんな人間もいるなと思う演奏でした。
【エピソード、各資料からこのセッション】
資料03には次のように書かれています。
「五月の最終日、ニューヨーク・シティにて、彼はコルトレーンとタイトルされた記念すべき初リーダー・アルバムをプレスティッジに吹き込んだ。冒頭のトラック(ストレート・ストリート)からして、彼の意欲は明快だ。コルトレーンは自らを改造し、チャンスを台無しにしなかった。彼はアルバムに収められたほとんど全てのソロを、彼固有のフレーズを散りばめながら演奏する。それらは実にバラエティに富んでおり、しかも正確で活気がみなぎっている。アルバムのうち半数の曲で、彼はサヒブ・シハブの吹くバリトン・サックスの重厚なサウンドをアンサンブルに加え、自らのテナーとハーモナイズさせている。全体として、これはコルトレーン特有の個性が示された見事なアルバムに仕上がっている」
【ついでにフォト】
2008年、みなとみらい
(2019年7月6日掲載)