19570531-01

Straight Street (John Coltrane)  (6分20秒)


【この曲、この演奏】

 コルトレーン作の曲であり、資料09によれば彼自身がアレンジも行っている。初リーダー・セッションの最初に用意した自作曲なので、さぞや強い思いがあるのかと思いきや、資料06によればコルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。

 この曲はトランペットとバリトン・サックスを加えての3管で、マルのピアノでのセクステットでの演奏です。

 さて演奏ですが、ミドルというかアップテンポの曲をバリトン・サックスを巧みに活かした重みのあるアレンジのテーマで、この曲は始まります。続くコルトレーンのソロは、めり張りのきいたものです。資料11によれば「そのクロマチックなコード進行を実に楽々と操る」と、このソロにコメントしています。続くスプローンのソロは、浮き足立ちながらも懸命に演奏しています。マルのソロの後に再び重厚なテーマに戻り、最初の曲が終了します。



【エピソード、このセッション】

 コルトレーンの初めてのリーダー・セッションで、メンバー編成についてコルトレーンの意向が汲まれたのかは分からないが、一つだけではコルトレーンの人選と言い切れることがある。

 ジャズ史においてこのセッション以外では全く知られていない、トランペット奏者のジョニー・スプローンの参加だ。。彼について分かっていることは、コルトレーンの同郷ということだけである。(資料11)

 ここではバリトン・サックスで参加しているシハブとコルトレーンは、この前のセッション、そしてこの年の末のブレイキー・ビッグバンド・セッションの3回の共演となる。

 また資料06によれば、ドラムのアルバート・ヒースとコルトレーンの共演は、本セッション以外に1955年のジミー・スミス(org)との共演歴がある。これは録音は残っていないが、資料06を編纂過程で著者がアルバート・ヒースとの2度のインタビューの過程で明らかになったことである。ジミー・スミスとコルトレーンの共演だけに驚きの事実である。

 ピアニストが二人参加しており、その人選には納得というものだ。このセッションまでに3回共演したマルが前半、そしてマイルス・バンドでの盟友ガーランドが後半に参加している。

 この二人のピアニスト、そして3管とワン・ホーンによる前半と後半というように、変化を持たせた構成である。

 本セッションで演奏した全7曲は、LP7105「コルトレーン」に6曲、LP7188「ラッシュ・ライフ」に最後に演奏された1曲が収録された。


【ついでにフォト】

tp07025-078

2007年、みなとみらい


(2019年7月4日掲載)