19570420-01

Dakar (Teddy Charles)   (7分10秒)


【この曲、この演奏】

 このセッションを仕切っているテディ・チャールズが提供した曲です。コルトレーンのこの曲の演奏は、このセッションだけです。

 タイトルからは未知の祖国を思い描いているものと思われるこの曲は、もの悲しい雰囲気を少し早めのテンポで演奏されており、ペイン、コルトレーン、アダムス、そして丸と続くソロの色合いの違いを味わえるものです。資料09で述べられている「バビッシュなペインとモダンなアダムス」というほどの違いは感じませんが、二人の興味深い対比は味わえます。コルトレーンのこの曲への思いの強さが込められた演奏が、そのバリトンの対比を価値あるものにしています。



【エピソード、このセッション】

 資料09によればこのセッションは、演奏には参加していないがテディ・チャールズがプロデュースしたものであり、オール・スターズ名である。6曲中3曲が彼が作った曲であるのは、そのためである。

 コルトレーンの初リーダー作品は、プレスティッジから1957年後半に発売された「コルトレーン」であり、このセッションから40日後の録音である。(発売日はウィキペディアの記載で情報源が明示されていないので、1958年に入ってからの発売かもしれない)

 本セッションをプレスティッジは1963年12月にコルトレーンのリーダー作品として、「ダカール」というタイトルで発売した。しかし本セッションが最初に世に出たのは、1959年のことであった。(発売日は資料05)

 「Modern Jazz Survey Baritones & French Horns」と題されたその作品の規格番号は、LP16-6であった。規格番号もプレスティッジでは見慣れないものであるし、アルバム名に「French Horns」とあるが、このセッションにはフレンチ・ホーン奏者は参加していない。その理由は、このLP16-6は12吋盤だが16回転のものである。通常の倍の演奏を収録できるものに、A面には本セッション、B面にはNJ8305としてプレスティッジ傍系レーベルのニュージャズから「Curtis Fuller and Hampton Hawes with French Horns」として発売された演奏が収録されている。(ウィキペディアぺの情報源無し記述によれば1965年発売)そこにはJulius WatkinsとDavid Amramという二人のフレンチ・ホーン奏者が参加している。

 つまりこの16回転モノは、バリトン2本での演奏とフレンチ・ホーン2本の演奏を売りにしているのである。悪くいえばキワモノ作品となる。

 話が本セッションから逸れるが、プレスティッジから16回転モノは6タイトル発売されている。

16-1はミルト・ジャクソンとMJQの作品を収録したもの。(LP7003, 7005)

16-2はビリー・テイラーの2作品を収録したもの。(LP7015, 7016)

16-3はマイルスの2作品を収録したもの。(LP7109, 7150)

16-4はJJとカイ、二人のトロンボーン奏者共同名義の2作品を収録したもの。(LP7023, 7030)

16-5はジョージ・ウォーリントンのNJ8207、ウッズとガーランド共同名義のNJ8304を収録したもの。

1から4は理解できる、5はウッズ繋がりで了解可能、しかし16-6となると了解不能となる。この了解不能品を持って、プレスティッジの16回転12吋モノは最後となる。音質の悪さが嫌われたのと、16回転に対応した機器が浸透しなかったためであろう。


【ついでにフォト】

19570420-01

2005年、香港


(2019年6月6日掲載)