19570406-08

All The Things You Are
(J. Kern - O. Hammerstein) 
(10分9秒)



【この曲、この演奏】

 このセッションでは、グリフィン作とスタンダードを交互に並べて演奏しています。最初に取り上げたスタンダードはジェローム・カーン作の有名曲でしたが、二つ目のスタンダードもジェローム・カーン作の超有名曲です。多くの歌手、多くの奏者が取り上げているこの曲は、「もともとはスロー・テンポのラヴ・ソング」(資料14)ですが、テンポを早めて演奏される場合もある曲です。

 この曲はグリフィンのお気に入りとみえて、資料08には多くの演奏記録が残されています。さてコルトレーンの演奏記録となると、発売されたものはこのセッションだけです。1963年4月29日の黄金カルテットでのインパルス!におけるスタジオ・セッションで、コルトレーンはこの曲を演奏しています。資料07を見ますと、会話程度のものも含めれば8回の演奏を行なっていますが、今に至るまで未発表のままです。

 さて演奏ですが、ケリーのピアノがこの曲の登場を予感させてから、グリフィンがアップテンポでテーマを演奏し、そのままソロをとり、その後半に見事な盛り上げを行います。そしてコルトレーンのソロは心情表現お見事であり、続くモーガンは切なさのトランペット、さらにモブレーの強い思いを感じるソロへと続きます。その後にはケリー、チェンバースとソロが続き、サックスとドラムスの4小節交換を挟んでブレイキーの短いソロとなります。

 この曲を4管でアップテンポできめたこの演奏は、素敵なものです。



【エピソード、コルトレーン語録 その1】

「栓抜きはどこだい」

 一九五六年五月十一日、ヴァンゲルダー・スタジオにて。「ウディン・ユー」の録音終了直後の発言。

 資料04に「コルトレーン語録」として、20弱の発言を掲載している。長い発言もあれば短い発言もあるが、このような一言ものはこれだけである。そして他のはそれなりに状況や発言の意味合いを感じ取れるが、この「栓抜きはどこだい」ではその意味を探るのは難しいもである。

 この日はマイルスのプレスティッジ・マラソン・セッション前半であり、「ウディン・ユー」はその中盤に演奏されている。演奏終了”直後”のこの言葉を、単純に「氷入りバケツで冷やされているビールを飲むため」と考えるのは、粋ではないのであろう。

(資料04より)



【ついでにフォト】

tp05033-061

2005年 香港 赤柱国際龍舟錦標賽2005


(2022年1月16日掲載)