Soul Eyes (Mal Waldron) (17分31秒)
【この曲、この演奏】
マルがこのセッションのために作った、冥冥とした中に浮かぶ清美な様子の曲で、多くのミュージシャンに愛されていくことになる曲です。
そんなミュージシャンの一人がコルトレーンで、1962年4月にインパルスへのレコーディングで、この曲を取り上げました。その1962年には黄金カルテットでのライブで2度演奏した記録が残っています。(資料06)
当然ながらこの曲はマルの重要レパートリーになって行き、特に1970年台以降は数多くのこの演奏記録があります。また記録上では、マルが最後に吹き込んだ曲が、この曲でした。(資料08)
まことに艶冶なバラッドです。特に印象的なのは、テーマでの管楽器4人の響き合いです。郷愁、人生の振り返り、誰にもあるそんな心模様を推し量っているような演奏です。
さて資料09では、ブリッジでコルトレーンはアルトを吹いている(のでは)との記述があります。コルトレーンのテナー演奏の高音域については各資料で言及していますが、この曲でアルトを吹いているとの記述は他にはありません。確かにアルトとも思いますが、そうすると他のコルトレーンの演奏、特に後年の演奏にはそんな演奏ばかりだなとも思います。この点については演奏素人の私には分かりません。
資料11に、この曲は「ウォルドロンがコルトレーンを念頭に書いたもので」との記述があります。コルトレーンのソロにはこの後の彼の演奏を予感させる面があり、マルがコルトレーンの良さを引き出したものと思いました。
長尺すぎる演奏という点を除けば、素敵なものでした。
【エピソード、高校時代のコルトレーン】
コルトレーンが入学したのは、ウイリアム・ペン・ハイスクールであった。そこでサミュエル・バーフォードは、1933年から1968年まで校長を務めた。彼は毎日ように350人の生徒を出迎え、或いは見送ることをしていた。このことはバーフォードがその後にハイ・ポイント市議会議員になるのに役立った。
コルトレーンもバーフォードに出迎えられていた一人であるが、バーフォードの記憶ではコルトレーンの成績は良くなかったとのことだ。
中学時代のコルトレーンは優秀な成績だったのにだ。その理由は誰も知らなかった。音楽のことばかり考えていたのか、大学への進学する考えを捨てていたのかもしれない。(資料01)
【ついでにフォト】
2007年、アムステルダム
(2019年4月30日掲載)