Light Blue (Mal Waldron) (7分51秒)
【この曲、この演奏】
「ライト・ブルー」と言えばモンクの曲が有名ですが、このセッションで披露されている「ライト・ブルー」はマル作の曲です。
コルトレーンのこのマル作「ライト・ブルー」は、本セッションだけでの演奏記録です。(資料06)
またコルトレーンにはモンク作の「ライト・ブルー」の演奏記録はありませんが、この年の長期「ファイブ・スポット」出演で演奏していかもしれません。
小気味よいブルース・ナンバーで、ジャスパー、シュリーマン、コルトレーン、そしてヤングと続くホーン陣のソロは、それは朗らかなものです。しかしながらこの演奏の舵取りをしているのは、バレルのギターと感じました。出だしのバレル刻むリズムとマルの絡み、そして最初とホーン陣に続く2回のバレルのソロは、このブルース曲を笑顔に導いております。
【エピソード、コミュニティ・バンドでのクラリネット演奏】
スティール牧師からクラリネットを手渡されたコルトレーン少年は、多くのクラリネット奏者がする45度の角度でクラリネットを持つスタイルではなく、クラリネットの先端を床に向けて、一気に空気を吸い、その空気をクラリネットの中に満たした。
その瞬間、あたりの空気を破って美しい音色が響き渡った。それは低音であったが、ほとんどの少年がコルトレーンの方に振り返るものであった。
「君にはクラリネットが合うようだ。いい音が出る」「クラリネットを習っていたの? それとも誰かの演奏を見て覚えたのかい」このスティール牧師の言葉に、コルトレーンは次のように答えた。「ありがとう、あなたが教えているのをいつもここで見ていました」(資料01)
こうしてコルトレーンはコミュニティ・バンドでのクラリネット奏者となり、演奏に熱中する少年となったあのである。
【ついでにフォト】
2007年、アムステルダム
(2019年4月29日掲載)