19570223-02

Well, You Needn't (Thelonious Monk)
(7分36秒)



【この曲、この演奏】

 このモンクの有名曲をマイルスは、1956年に何度も演奏していました。スタジオ録音では1956年10月26日のマラソン・セッション後半で録音され、アルバム「スティーミン」で発売されました。ライブでもたびたび演奏され、このピーコック・アレイを含めてブートレグで聴くことができます。

 マイルス・グループ以外でのこの曲のコルトレーンの演奏記録は、1957年6月26日のリヴァーサイドでのモンクのスタジオ録音が有名なところです。その演奏はアルバム「モンクス・ミュージック」に収録されています。

 さて演奏ですが、陽気に公園を歩いているようなテーマ演奏で、トランペットとテナー・サックスが気分良く重なっています。そして演奏はトランペットのソロとなり、3分近くの演奏を楽しむマイルスがいます。続いてコルトレーンのソロとなり、用事を思い出し早歩きになっているかの演奏となりますが、収録は1分42秒で途中終了となっています。これはエアチェック自体によるもの(資料07から推測)にようです。

 演奏はピアノのソロからベースのソロへと続きます。ベースのソロの途中でカットがあり、これはブートレグCDでの編集のようです。

 スリリングな味わいも加わった後テーマとなり、演奏は終わります。



【エピソード、ダウンビート誌1958年10月16日号 その7】

 デイヴィスとモンクからハーモニーの奥深さを学び、音楽スキルを培っていくうちに、自信たっぷりの新たなコルトレーンが姿を現した。音数の多い、長いラインを吹くようになった彼は一九五八年、”シーツ・オブ・サウンド”と称されるフレーズに目覚める。

 こうしたプレイはつぼに嵌まれば、折り重なっていく情感と余韻のあるハーモニーを生むが、しくじれば、不可解な音が並んだスケールにしか聴こえなくなる。

 今のコルトレーンの土台となっているこのアプローチは、何か新しいものを生み出そうと意識的に努力した結果ではない。本人いわく、それは自然発生的なものだった。

 「今はまだ美しいとは言えない。美しくなければ、音は正当化できないんだ」とコルトレーンは言う。

 「それができなければ、捨てるしかないだろうな」


ダウンビート誌、一九五八年十月十六日号、16-17ページより(資料04)



【ついでにフォト】

tp05055-045

2005年 香港 


(2023年4月24日掲載)