19561130-06

Romas (Tadd Dameron)    (6分53秒)


【この曲、この演奏】

 資料06に掲載されているボブ・ワインストック手書きのログ・ブックには、この曲の演奏時間が7分45秒と書かれています。レコード化する際に50秒削った編集をしたのですが、その理由については、資料06を含め言及している資料は見当たりませんでした。

 演奏は粘りっこいブルース、アーシーな演奏です。コルトレーンの演奏は、この粘りに魅力が冴えております。そしてここでの演奏で味わいあるのは、ダメロンのモンク風ピアノです。このブルース曲をピアノ演奏で重厚感あるものにしています。しかしコルトレーンのソロを挟んでの2回目のダメロンのソロでは、この演奏スタイルが食傷気味に感じます。

 さて50秒削りなのですが、聴く限りでは編集点は分かりませんでしたが、想像するに後半のダメロン・ソロで何らかの編集を入れたのでしょう。



エピソード、スティール牧師のコミュニティ・バンドでのコルトレーン】

 スティール牧師のコミュニティ・バンドでのコルトレーンを、資料01から要約します。

 第一回リハーサルに家の手伝いで参加できなかったコルトレーンは、二回目に顔を出すと、何とアルト・サックスが一台残っており、アルトでやれるところまでやろうと決心した。

 この時のコルトレーンは13歳であり、まだ気まぐれな興味の対象であった。

 ある日のこと、クラリネット奏者が参加できなくなり、コルトレーンは「一度でいいからこんな素敵な楽器を持ってみたい」とスティール牧師にお願いした。牧師はコルトレーンの輝く真剣な眼差しに心を動かされた。牧師はコルトレーンがいつも早い時間にけて、また一番遅くまで練習していたことを思い出した。試しにこの少年にクラリネットを吹かせても、神様の罰も当たらないであろうと考え、コルトレーンにクラリネットを渡したのであった。


【ついでにフォト】

19561130-06

2005年、香港


(2019年3月29日掲載)