On A Misty Night (Tadd Dameron)
(6分22秒)
【この曲、この演奏】
周囲を癒す、洗練された男性が軽やかに踊っている様子が浮かんでくる曲で、ダメロンの作曲センスの良さを感じる曲です。
コルトレーンはこのメロディの演奏で腰を引いたような感じがしますが、ソロに入ると曲の雰囲気を壊さない範囲で力の入った演奏をしています。それを上手くサポートするダメロンのピアノは、器の大きさを感じるものです。
もう1テイク録っていればとの思いがありますが、これはこれで良しでしょう。
【エピソード、スティール牧師の地域での音楽貢献】
聖スティーブン派では、日曜の午前中と火曜の夜には黒人霊歌から流行歌までのさまざまな曲が歌われた。日曜学校に利用される地下室には毎週火曜日になると同じ顔ぶれの生徒たちが集まって、コミュニティ・バンドのリハーサルを中心にしたスティール牧師の音楽指導を受けるのであった。牧師自身もミュージシャンとしてクラリネットを演奏したが、ハイ・ポイントの黒人地域社会が、急速に近づいている第二次世界大戦の不吉な震動におびえているとき、人々が一番必要としているのは個性的で優れた音楽しかないと思い込んでいた。その必要を満たすチャンスは、彼が指導しているボーイ・スカウトの優れた若者たちを再組織し自分の指導下におくことであった。
牧師の指導方法はグループ指導であり、個人レッスンはしなかった。ただ個々の楽器の教則本を持っていたので、正しい指使いを教えることはあったようだ。
また牧師はジャズは好きではなく、クラシックも好きではなかった。牧師が考えていたコミュニティ・バンドで取り上げる曲は、シンプルな音楽、例えば「スーザの行進曲」のような基本的なバンド音楽か、教会の聖歌集にあるよく知られた黒人霊歌であった。(資料01)
【ついでにフォト】
2006年、香港
(2019年3月28日掲載)