19560921-11

Just for the Love (John Coltrane)
                             (3分41秒)




【この曲、この演奏】

 引き続きコルトレーン作の曲が演奏されました。この曲のコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけです。(資料07)

 この曲はFのキーによる風変わりなブルースで、思考している途中でスタートするようなビ・バップ・フレーズが印象的だ。曲の雰囲気は最後までまとまりがないままである。(資料03)

 12小節から成っているが、コード進行は今ヴェンショナブルなブルース進行とは異なっており、常に新しいものを目指していたコルトレーンの姿勢が大変にフレッシュだ。(資料09)

 さて演奏ですが、上記のネガティブな資料03、ポシティブな資料09の双方のコメントに頷ける演奏です。アルバムの最後のために、楽しくみんなでソロを回したと考えれば、これはこれでよしでしょう。ソロの順番は、テナー、ピアノ、トランペット、ギター、ベース、ドラムスです。

 チェンバースの強靭なバッキングを感じて聴き終えた演奏でした。



【エピソード、ポール・チェンバースについて】

 ベースのポール・チェンバースは楽器の最低音を使った力強いピチカート・プレイにより、クインテットのグルーブを見事に牽引している。彼のソロ・パッセージ ーピチカートだけでなくボウイングも披露するー にはジミー・ブラントンやオスカー・ペティフォードにも比するべき完璧なリズム感が表れている。だが彼は基本的にビートの要だった。

 「ポール・チェンバースほどの力量をもったベーシストはニューヨークにはめったにいない」とコルトレーンは語っている。「彼はつなぎ目を理解しているし、ピアノとドラムスの音をよく聴いている。彼のインプロヴィゼーションはすべてこれらの楽器に寄与するためのものだ。彼のメロディ・ラインは、ある意味でこの二つの楽器から出る音の結果として生まれるんだ」

(資料03より)



【ついでにフォト】

tp13025-168

2013年 みなとみらい


(2022年1月11日掲載)