19560921-09

Nita (John Coltrane)   (6分30秒)



【この曲、この演奏】

 この演奏の前にチェンバース作の2曲が、コルトレーン抜きで演奏されています。

 このセッションの3曲目として、ピアノ・トリオで「Tale of the Fingers」が演奏されました。そして次にピアノ・トリオにギターが加わり、つまりはコルトレーンとバード抜きで、「Whims of Chambers」が演奏されました。どちらも陽気に弾む演奏で、楽しげなメロディが生きた演奏となっています。チェンバースのベースは、アルコとピッチ・カートでのソロも冴え、バッキングと合わせてベース奏者としての彼が生き生きとしています。この2曲での手応えが、10ヶ月後の「Bass On Top」セッションにつながったのでしょう。

 さてこのコルトレーン作の曲です。資料07によれば、コルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。「チョッとひねくった曲で、22小節+6小節+2小節という構造になっている」との説明が、資料09にあります。

 その演奏ですが、軽快なドラムスから入り、二管が絶妙に重なって、リズミカルでほんわかしたテーマが演奏されます。ソロ順は、バード・バレル・コルトレーン・シルヴァー・フィリーとの順番です。ベースがソロをとっていないのが気になりますが、各位のソロを聴いていると、この曲はソリストが思い切って演奏できる曲だなと感じます。コルトレーンのソロでは途中で戸惑いの場面もありますが、ご愛嬌といったところでしょう。伸びやかなバードが光る後テーマとなって、演奏は終わります。



【エピソード、コルトレーンの自作曲】

 ここ(ウィムス・オブ・チェンバース)には、「ニタ」と「ジャスト・フォー・ザ・ラブ」という二曲のコルトレーンのオリジナルが入っている。これらは初めてレコーディングされたコルトレーンの自作曲だった。目立たないが斬新な構成の曲であり、リズム・セクションが醸し出すアーシーでスウィンギーな感覚ともよくマッチしている。

 「ニタ」は三十小節の曲であり、Ⅱ- Ⅴ - Ⅰというコード・サイクルが用いられている。これは新しいキーを捕捉しやすいため、ジャズでよく使われるコード進行だ。「ニタ」ではこのコード・サイクルがそれぞれ三度の差でつながっている。これはコルトレーンが三度の転調を織り込んだコード進行を使って書いた初めての曲だった。数年後に彼はこのパターンを全面的に取り入れた「ジャイアント・ステップス」を発表することになる。(資料03より)

 またこの曲はネイマへ捧げた曲とのことであるらしい。



【ついでにフォト】

tp13026-039

2013年 みなとみらい


(2021年12月31日掲載)