19560921-05

Omicron (Donald Byrd)   (7分18秒)



【この曲、この演奏】

 1曲目に続いてバード作の曲が演奏されました。ガレスピーの「ウッディン・ユー」のコード進行に基づいて作られたこの曲(資料09)は、バードもコルトレーンも演奏記録は本セッションだけです。(資料07, 08)

 フィリー・ジョーが場を温めてから、テーマに入ります。ここではバードとコルトレーンの二管のキリキリした演奏が耳に付きますが、すぐに二人らしさに戻ります。その後は、メンバー全員の若さある、時代の勢いを感じるソロとなります。コルトレーン、バード、バレル、再びバード、チェンバース、シルヴァー、そしてフィリー・ジョーという順番です。

 後テーマでは不発に終わったかなと感じる仕掛けもありますが、勢いの良さで盛り上げ、最後はフェイド・アウトとなっています。



【エピソード、ホレス・シルヴァー】

 コルトレーンがスタジオ・セッションでホレス・シルヴァーと共演したのは、本セッションだけである。しかしながらライブやジャズ祭などでは、少なからずの接点はあったようだ。その中で明確な記録としては残っていないものの、ライブでの共演情報がある。それは資料07の共同編者の一人である藤岡氏が行なった2001年9月29日のホレス・シルバーとのインタヴュー、そして1991年5月20日のアート・ファーマーとのインタヴューでの話だ。

 恐らくは1957年春に、ホレス・シルバー・クインテットはマンハッタンのカフェ・ボフェミアに数週間出演した。メンバーは、アート・ファーマー(tp), ハンク・モブレー(ts), テディ・コチック(b), そしてルイ・ヘイズ(d)の予定であった。ところがモブレーが病欠となり、予定の前半をクリフォード・ジョーダンが、後半をコルトレーンが代役を務めたとのことだ。(以上は資料07より)

 これはシルヴァーとの共演ということだけではなく、コンボでのコルトレーンとファーマーの共演ということでも貴重なものだ。私としては奇跡を、世紀の大発見を、心待ちにしている。



【ついでにフォト】

tp13022-098

2013年 みなとみらい


(2021年12月30日掲載)