19560907-03

How Deep Is The Ocean (Irving Berlin)
(15分6秒)


【この曲、この演奏】

 資料14によればこのバラッドは、ミュージカル映画「ブルー・スカイズ」に使用された曲とのことです。本当に多くのミュージシャンに愛されており、数多くの名演が残されている曲です。しかしながらコルトレーンの演奏記録は、本セッションだけであります。(資料06)

 さて演奏ですが、感動的なバラッド演奏です。とにかく、全員がイカした演奏をしています。それはソロをとっていないジョーンズでも、ブラシでのバッキングが最高の空気感を出しています。チェンバースのアルコ・ソロと聞けば、突然照明が変わるような演奏で、敬遠したくなる人が多いでしょう。私もそんな一人ですが、ここでのアルコ・ソロはこのバラッドの心を最高に引き出す演奏です。そしてそれに続くコルトレーンも、チェンバースに負けないこの上ないバラッド演奏です。

 15分があっという間に終わるこの演奏を聴くと、ツボにはまった時のプレスティッジの寄せ集めセッションの凄さを感じます。


【エピソード、モブレーとコルトレーン】

 二人の共演は、スタジオ録音が4回5日間あります。

 最初は1956年5月7日のプレスティッジへエルモ・ホープのインフォーマル・ジャズ、2度目が本セッション、3度目が1957年4月6日のブルー・ノートへのグリフィン、そして4度目が1961年3月20日と21日のCBSへのマイルスのサムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カムです。(資料06)

 それぞれを聴くと、5年間のコルトレーンの変化とモブレーの独自のスタイルが味わえ、その意味ではこの5回の二人の共演は興味深いものです。


「ついでにフォト」

19560907

2006年、香港


(2019年2月9日掲載)