19560605-08

Bye Bye Blackbird (take 3)
(M.Dixon - R.Henderson)  
(7分54秒)



【この曲、この演奏】

 この曲の1回目の演奏の後に行ったテイク2は、今までに世に出ていないようです。(資料07)

 3回目のこの演奏が本テイクとなり、アルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」に収録されました。

さて演奏ですが、構成はテイク1と同様です。そして私がテイク1で感じた微かな違和感の、ガーランドのソロの後の後テーマでのマイルスの入り方ですが、このテイク2ではスムーズなものでした。そして何よりも演奏全体に深みが増していることが、このテイクの良さです。

 このセッションはプレスティッジにおける二度のマラソン・セッションの合間にあるのですが、そちらでの演奏ならば「テイク1」がOKテイクになっていたはずです。このあたりの部分が、マイルスをコロンビアに走らせた大きな理由なのでしょう。



【エピソード、マイルスの教え】

 マイルスはあまり教えてくれなかったと、コルトレーンはジョークを言っている。マイルスは吹き方についていろいろ話してくれたのか、という質問に対して、コルトレーンは「マイルス? わたしに何か言ったかだって? そいつは面白いジョークだな」と応じた。

 しかしマイルスは自分のバンドの質を高めるため、メンバーにあれこれ指示を出していたはずだ。サックス奏者のジョン・ギルモア(コルトレーンが大いに尊敬していたミュージシャンだった)がグループに飛び入りで参加したときのことだ。ある曲でコルトレーンがステージを下り、ギルモアがリズム・セクションをバックにひとりでソロをとった。するとマイルスはコルトレーンをひどく叱りつけた。「マイルスはコルトレーンをはげしく責めていた」とギルモアは振り返る。「『二度と誰かにステージを明け渡して、そいつの方がお前よりうまいと思わせるようなことはするな』ってね」
 (資料03より)



【ついでにフォト】

tp10020-070

2010年 ペナン、マレーシア


(2021年12月20日掲載)