19551026-20

Little Melonae (Jackie McLean) (7分18秒)



【この曲、この演奏】

 マクリーン作のこの曲、コルトレーンはこの後にスタジオで2回演奏しています。1958年3月4日には、マイルス・バンドでのレコーディングで演奏しています。このセッションはマイルスのアルバム「マイルストーンズ」向けのセッションでしたが、この曲はボツとなり、2000年になってから世に出ました。コルトレーンはこの曲を気に入ったようで、1958年3月26日のプレスティッジでの自分のセッションで演奏しました。その演奏は1961年にアルバム「セッティン・ザ・ペース」に収録されて発売されました。(資料07)

 ちなみにマイルスのこの曲の演奏記録ですが、資料08によればコルトレーンとの2回だけです。

 この曲の演奏前には「Billy Boy」が演奏されていますが、これはトリオだけでの演奏でした。クインテットとしては3曲目の演奏となるこの曲は、4回演奏されました。そしてテイク2最初からトランペット・ソロの中盤までの1分58秒、テイク3のトランペット・ソロの中盤から各ソロが終わるまでの4分46秒、そしてテイク4を後テーマとしてマスターテイクが編集されました。その演奏は1973年に発売されました。

さてマスターテイクですが、ミドル・テンポのブルース・ナンバーを先ずはリズミカルなピアノでテーマを演奏します。続いてマイルスとコルトレーンのアンサンブルとなり、力強くもありぎこちなさもあるものです。マイルスのソロは彼独特の重い雲が立ち込める空の流れのような演奏であります。続くコルトレーンのソロには、彼独特の節回しが感じ取れるものです。そしてガーランドのソロですが、テーマでの演奏から一転して憂鬱さがあるものです。そして後テーマとなり、演奏は終わって行きます。

 なお編集ポイントの2箇所ですが、私には感じられない繋ぎでした。



【エピソード、コロンビア・レコードのジョージ・アヴァギャン その3】

 彼(アヴァギャン)はその晩(1955年後半)、何回も演奏を聴いた。なかでも一番印象的だったのは、コルトレーンが研究していた荒削りで爆発的なハーモニーであった。アヴァギャンは、コルトレーンが他人に訴えかけるように叫び、解放を求めて泣くかのごとく、悲鳴にも似た音を出しのを耳にした。彼はそのサキソフォン奏者が演奏している様子をいささかも見逃すまいと見守っていた。ジョージの眼にはジョンが次々と音を出し、ひとつひとつのコードをその限界を突き破るがごとく演奏するとき、「彼の背は高くなり、身体全体がみるみる大きくなっていく」ように見えたのである。(資料01より)



【ついでにフォト】

tp08009-042

2008年 みなとみらい、横浜


(2021年11月22日掲載)