2001年2月28日掲載
George Wallington
Jazz For The Carriage Trade
Prestige原盤       1956年1月録音

 ジョージ・ウォーリントンというピアニストの世間での知られ方は、どんなもんだろうな。バップ期に黒人凄腕達と四つに組んで演奏していた時代。ハード・バップ期に名高いクィンテットを結成して名声を博していた時代。ジャズ界を去って30年近く経った1984年にフロリダで発見され、レコードを発表したりジャズ祭に出ていた時。

 僕にとっては、圧倒的に名クィンテットの時代がウォーリントンの印象であり、その第1期の作品はこのコーナーで以前に取り上げており、これはメンバー・チェンジを行なっての2度目の録音によるものです。アルトがマクリーンからウッズに替わり、ベースがマイルスのバンドに行ったチェンバースに替わってテディ・コティックが入ってます。ドナルド・バード(tp)とビル・ブラッドレイ(d)はそのまんまです。まぁ、名盤と言われ続けている作品ですよね。

20010228

 昨年末に渋谷ジャロさんに行った時にかかっていた盤は、マイルスの「ラウンド・ミッドナイト」。僕が店主に「この時代の作品を聴くとホッとしますね」と言うと、店主は「そーだろう」って笑っていましたね。全ての事に旬があるように、ジャズが最も輝いていた時期は1950年代だと言うことに誰でも異論はないと思うが、新譜をばかり聴いて数ヶ月以上経っていた僕の耳に、ジャズ聴き始めの時に聴きまくっていたジャズ黄金期の作品が、懐かしさと刺激を運んでくれたのでしょう。

 さて、この作品もジャズ黄金期の大名盤。ハード・バップの動きを牽引して行くことになる、溌剌とした若手ウッズとバードの名演奏に酔いしれる1枚です。駄曲無し、駄演奏無しの、生粋の名盤。