2016年8月5日掲載
Walter Bishop Jr.   Speak Low again
Venus原盤                  1993年6月録音

 ウォルター・ビショップJrの名盤に留まらず、ピアノ・トリオの名盤として燦然と輝く「Spaek Low」をこのコーナーで取上げたのは、2009年5月のことでした。
 その後すぐに、このヴィーナスの企画ものを取上げる計画でしたが、7年後にようやく紹介できます。 

「Spaek Low」よもう一度、とのタイトルが付けられたもので、発売された1990年代半ばでは、有名ジャズマンとのことだけでは一定数以上の販売が見込めず、ジャズ・ファンの心をくすぐるこの企画にしたのでしょう。
 しかしながら重なっている収録曲はタイトル曲だけであり、その辺りはプロデューサーの微かな良心だったのでしょう。ポール・ブラウン(b)とアル・ヘアウッド(d)とのレコーディングです。

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「Spaek Low」は勢いを増した演奏を聴け爽快なものですが、この盤の聴き所はビショップ作の3曲でしょう。
 奥さんの名前を付けた「Keiko's Samba」は、軽快ノリノリでながら何故か哀しさを漂わせての演奏。
 「Bish Bash Blues」はブルースを”ビシバシ”とから名付けたかと安易に考えましたが、Bishとはビショップの愛称だそうで、ビショップがバシッと決めるブルースとの意味なのでしょうか。そうならばブルースを”ビシバシ”で正解かと思いながら、体を揺らしながら楽しみました。
 「Valley Land」はビショップが1974年に発表した曲で、彼が良く取り上げる曲とのことで、なかなかの演奏です。
 また「The Masquerade Is Over」や「Just Friends」などの渋いスタンダードを取上げています。最後にはかつて一緒に演奏していたパーカーの曲を取上げて、味わい深いビショップのピアノを絶妙なトリオで聴き終えました。