2008年5月11日掲載
Charles Lloyd      Forest Flower
Atlantic原盤       1966年9月録音

 丁度20年前に購入した本CDには、中山氏の解説が封入されております。そこにはこの年のモントレー・ジャズ祭について簡潔な記述がありますので、以下それを引用します。

 このジャズ祭のプロデューサーであるジミー・ライオンズは、後年にこの1966年を振り返って、「最も印象深いジャズ祭」と述べています。その理由は3つ。ドン・エリスとキース・ジャレットという若い才能を、紹介できたこと。二つ目は、キャノンボール・アダレイがこのジャズ祭で、『マーシー・マーシー・マーシー』を初公開したこと。最後に、ジェファーソン・エアプレインや、ポール・バターフィールドといったロック・グループを初出演させたこと。

 そんな意義のある1966年モントレー・ジャズ祭は、9月16日(金)から18日(日)にかけて開催されました。ギル・エヴァンスのオーケストラで幕開けし、エリントン・オーケストラで幕を閉めました。ロイドが登場したのは最終日。日曜の1時30分から始まったステージの、出演順は次の通りです。ドン・エリス・オーケストラ→本盤→ジョン・ハンディ・クィンテット→ギル・エヴァンス・オーケストラ→エリントン・オーケストラというものでした。

 こんな形で登場したロイドは、キャノンボール・アダレイのバンドでの活躍後、一人立ちしクァルテットで演奏しております。キース・ジャレット,セシル・マクビー,そして若干21歳のキース・ジャレットとの演奏です。

20080511

 20年前に聴いた時の印象は、それほど強いものではありませんでした。しかしその後、何故だか数年に1度は、この盤を取り出して聴きたくなります。今回聴いて感じたその魅力は、リズム・セクションの3人の作り出す空気感だったのでしょう。ゆったりと流れる展開ながら、若き3人が作り上げる刺激が、実に心地よいものなのです。

 一方で主役のロイドは、ゆったりとした心地にさせる演奏ですが、数多入るサックス奏者から抜け出しているレベルには思えません。リズム・セクションが作り出す刺激感が、サックスには聴き取れません。

 ロイドはこの後ロックに接近していくことになりますが、そちらの作品には触れたことがありません。この後ロイドがどんな演奏を行っていったのか。ロイドがジャズ・ファンの前に戻ってきたのは、1980年代に入ってペトルチアーニと共演からでした。