2001年8月23日掲載
Jeff Gardner          continuum
PAM Music原盤     1988年12月録音

 ジャズに関するwebページ上の掲示板は多数あり、大方は情報交換を目的とした和やかな掲示板なのですが、中には過激な表現で批判する掲示板も見受けられます。

 その批判の矛先が時にはジャズ評論家に向けられるのですが、多くの評論家はその評論内容に批判を受けているのですが、寺島靖国氏にだけは、一つ違った批判が行なわれます。

 掲示板におけるそれらの寺島氏への批判を読んでいると、みんな寺島氏のようなジャズへの接し方に憧れているのだと思うようになりました。その接し方とは、新譜を買い捲り、1日4時間誰もが羨ましくなるオーディオで聴く姿です。

 また寺島氏の行なう評論は、他の評論家と違って、豊富なジャズ知識の裏打ちがあっていながら、好きか嫌いかが重要なポイントになっているのも、一般のジャズ・ファンの共感を読んでいるのでしょう。自分も寺島氏のように発言したいが、真似しようとすると、とても太刀打ち出来ないのに気付いてのやっかみが、掲示板における氏への批判に繋がっているのではと感じます。

 いつごろ開始されたのか分かりませんが、SJでのユニオンの広告にある「一刀両断」コーナー、これが楽しみの方も多いのではないでしょうか。 そこに掲載されている寺島氏のコメントを中心に編集された本「新しいJAZZを聴け!」に掲載されている盤を集めて、ディスク・ユニオンが2001年夏に行なっている企画から購入した盤を3回にわけて、特集していきます。

 「まずはジェフ・ガードナー。と言われても困るなぁという諸君」という「一刀両断コーナー」での寺島氏のコメントが印象的だったのですが、翌月のこのコーナーの隅に「この盤は廃盤なのでお取り寄せ出来ません」とのユニオンのコメントがありました。問い合わせが殺到したのだろうなと思ったのと同時に、寺島氏への一般ジャズ・ファンの感心の高さを再認識した出来事でしたね。

 それから1年以上経過して行なわれた「寺島・ユニオン共同企画」に、この盤が山積みされていました。恐らくはユニオンがフランスの小さなレーベルに、特注して再プレスさせてものなのでしょう。エディ・ゴメス(b),ビリー・ハート(d)という有名人に脇を固めてもらった無名ガードナー、彼の自作曲の内容とその演奏に興味津々です。

20010823

 美しい旋律が命のようなお方です、ガードナーさん。ゴメスとハートという強力なリズムを得られていないとしたら、どこまでもメロディの美しさを追い求めて、聴き得る作品になっていないでしょう。ガードナーの美を最良の形で表現している盤でして、その最大の功績はリズムであるのは、この作品を聴いた人なら誰でも実感出来るのでは。

 さて寺島氏は「viaje a la luna」において、ガードナーの美を感じたとか。僕はゴメスとハートの強力なリズムに舞い上がったガードナーを聴ける「bop top」の後にひっそりと用意された「loveline」の、さり気ない美しさに惚れました。