2023年4月1日掲載

Miles Davis
My Prince Will Come
Columbia原盤
1961年3月録音

コルトレーン参加曲解説

 1960年春の欧州ツアーが終わったマイルス・グループから、コルトレーンが脱退しました。そして1960年秋の欧州ツアーにはソニー・スティットがサックス奏者としてマイルス・グループに入り、欧州各地で演奏を行いました。しかしそのスティットも、1961年の早い時期にマイルスの元を離れました。

 その次にマイルス・グループに参加したサックス奏者は、ハンク・モブレーでした。その最初の仕事が、3月に3回(7日 20日 21日)行われたこのアルバム「My Prince Will Come」制作セッションでした。

 1961年3月17日から23日までコルトレーンは、マンハッタンにあるアポロ劇場に出演していました。その近くでマイルスのレコーディングが行われており、コルトレーンは20日と21日にアポロ劇場出演前にスタジオに寄り、それぞれ1曲づつレコーディングに参加したのでした。

A面
My Prince Will Come (3/20, Coltrane)
Old Folks (3/20)
Pfrancing (3/7)

B面
Drad-Dog (3/7)
Teo (3/21, Coltrane)
I Thought About You (3/21)

 ピアノはウィントン・ケリー、ベースはポール・チェンバース、そしてドラムスはジミー・コブです。

 コルトレーン参加曲については、「今日のコルトレーン」をお読みください。

 1959年にアルバム「Kind of Blue」を制作し、1959年暮れから翌年春にかけてギル・エヴァンスとの共同レコーディングをおこなってきたマイルスの、その次のスタジオ録音が本作品です。心地よい張り詰めた緊張感がたまらない、作品となっています。

 さてモブレーですが、マイルスの築く世界を邪魔してはいませんが、それを強力に支える存在とも言い難いものです。ましてやマイルスの世界の中で、自分の個性を発揮していくのは、厳しいものです。ただ私は、この時期のマイルス・グループでのモブレーの存在を、それはそれで楽しんでいます。

 この録音の翌月に、サン・フランシスコにあるブラックホークへマイルス・グループが数日出演し、そこにはモブレーが参加しています。そして年末に行われたオーケストラでのカーネギー・ホール出演が、マイルス・グループへのモブレーの参加の最後になるようです。1962年夏にはマイルス・グループに、ウェイン・ショーターが参加することになります。

 なおコルトレーンは、3月1日から12日までシカゴにあるサザーン・ホテルのサザーン・ラウンジでライブ出演していたのでした。