2019年4月2日掲載

The Elmo Hope Sextet
Informal Jazz
Prestige原盤
1956年5月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

 エルモ・ホープは名前の通っているジャズ・ピアニストですが、地味な存在であります。ウィキペディアによれば彼の活動時期は3つに区分され、最初は1953年にNYに進出しての活動。そして薬物使用のためキャバレー・カードを没収されて西海岸に移った1957年からのもの。最後が1961年に再びNYに戻ったものの薬物で短期間投獄されて、満足な活動ができなかった時期。最後には薬物過剰摂取で1967年に急死しました。

 「今日の1枚」では彼の作品を3枚取り上げてきましたが、それらは上記3期間それぞれで録音されたものでした。そんな彼の作品で知名度はトップの本作を、「今日のコルトレーン」開始によりようやく掲載できるようになりました。

 ドナルド・バード、モブレー、コルトレーン、チェンバース、そしてフィリー・ジョーとの録音です。この作品はオリジナル盤市場で高値取引されていますが、その理由はプレスティッジ初期モノということでの数の少なさ、そして参加メンバーによるものです。残念ながら、エルモ・ホープ作品が理由での高値とは、言えない状況です。

 ホープ作の曲とスタンダードの組みわせで、A面とB面が構成されています。 

 ホープ作の両面トップの曲は、どちらもアップテンポ演奏です。それに続くA面のスタンダードは「Polka Dots And Moonbeams」でスロー・テンポですので、ホープ作の曲との対比でも楽しめる公正です。一方のB面では、スタンダードの「Avalon」をアップテンポで演奏しています。ここをスローなスタンダードにしていれば、A面同様に興味が湧く構成となったでしょう。そうなっていたならば、作品内容自体で人気盤になっていたかなと、感じました。

 若さあふれる3人のホーン陣については、「今日のコルトレーン」での感想をお読み下さい。