Tippin’ (take 8)
(Donald Byrd)
(7分1秒)
【この曲、この演奏】
ドナルド・バード作のこのブルースですが、バードは翌年6月のブルーノートでのビル・ヘンダーソンのセッションで再びこの曲を取り上げています。(資料08)
コルトレーンのこの曲の演奏記録は、本セッションだけです。(資料07)
さて演奏ですが、ファンキーに決めた気分の良い演奏です。テーマではバードとコルトレーンが交互に演奏し、色合いの違いを効果的に使っています。ソロのトップはコルトレーンで良き演奏ですが、ここでは続くバードに軍配をあげます。イキがって街を歩くチンピラの気持ちを表すようなトランペット演奏に痺れながら、ヤンチャなバードも良いもんだと感心しました。続くビショップのピアノはこのバードの影響をまともに受けたものとなっており、これも楽しめるものです。ベースとドラムスにも焦点を当てて、再びテーマとなり、ファンキーに演奏は終わっていきます。
この本テイクの前に7回の演奏があり、その中で最後まで演奏したテイクが2つありますので、それについて触れておきます。
-47 (take 1) (6分22秒)
19秒のスタジオ内トークと音出しがあり、「minor blues, take one」との指示の後に、6分3秒の演奏が始まります。その演奏はぎこちないものであり、まさにリハーサルというものです。ソロはバードがトップとなっていますが、気持ちが乗っていないものです。
-49 (take 3)
30秒のスタジオ内トークと音出しの後に、5分45秒の演奏が続きます。テーマではコルトレーンがうまく入り込めない様子があります。ソロは本テイクと同様にコルトレーンが先発となっています。テーマさえ決まればとの方向が、この演奏で見えたのかと思います
【エピソード、メンバーとの共演歴、その4】
コルトレーンとウォルター・ビショップJrの共演は、本セッションだけだ。その他に同じ会場にいたとの情報が2件ある。コルトレーン・バンドは1960年9月28日から10月1日までハーフノートに出演していた。その期間中に同会場で行われた別のイヴェントに、ビショップが出演していたとのことだ。もう一つが1965年12月13日のヴィレッジゲイトだ。この日に行われたイヴェントに、コルトレーンとビショップが顔を出していたとのことである。共に一緒に演奏したとの情報はない。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2022年3月26日掲載)