Midriff (take 5)
(Jerry Valentine)
(3分17秒)
【この曲、この演奏】
この曲は、ブレイキーも参加していたビリー・エクスタイン楽団でアレンジャーとして活躍したジェリー・ヴァレンタインが書いたスインギーなナンバーです。(Art Blakey’s Big Band国内版解説より)またここでのアレンジは、このジェリー・ヴァレンタインが行なっています。そしてコルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。
さて演奏ですが、ダンスホールで陽気に踊るのが似合うこの曲を、厚みあるアレンジで演奏しており、作者兼編曲のジェリー・ヴァレンタインが主役といった内容です。
原盤解説をみると、ソロはハードマン、コルトレーン、ビショップが行ったとなっています。その中でコルトレーンには他の二人よりも長めのスペースが与えられ、陽気さを崩さずにコルトレーンらしさが感じ取れる演奏行っています。
原盤解説には括弧書きでコルトレーンについて、「the venturesome tenor who has been with Thelonious Monk and Miles Davis in recent month (ここ最近でモンクとマイルスと共演した冒険的なテナー奏者)」と紹介しています。「venturesome」の日本語訳は難しく、「冒険的、危険な、大胆な」と辞書にありますが、この時点でのコルトレーンは大物と共演した「今までのテナー奏者とは違う」と捉えられていたことが伺えます。
この5回目の演奏がOKテイクとなりましたが、その前に演奏された中で最後までの演奏となった2つのテイクについて、触れておきます。
05 (take 1) (2分42秒)
アレンジの確認を行った演奏だといえるでしょう。コルトレーンのソロは、このビッグバンドの中での自分の立ち位置を確認している感じのものです。12秒のスタジオ内の様子があり、2分30秒の演奏となっています。
-07 (take 3) (3分24秒)
アレンジを豊かな表現力で演奏するバンドの部分は、このテイクで満足だったのではと思います。考えどころはソロの3人の演奏を引き立てるにはと、なったのでしょう。
5秒のスタジオ内様子の後に3分16秒の演奏、そして「オーノー」との声が聞こえる3秒間がこれに続きます。
【エピソード、このセッションの発売】
このセッションで演奏された9曲中8曲が、アルバム「Art Blakey’s Big Band」に収録され、ベツレヘムから(多分)1958年10月に発売された。またその中の「El Toro Valiente」と「Ain’t Life Grand」が、シングルで発売されたようである。
アルバム「Art Blakey’s Big Band」に収録されなかった「Oais」、そして収録された8曲の中の7曲の別テイクがCD2枚組「The Bethlehem Years: John Coltrane」に収録され1994年に発売された。
そして私は持っていないが、その後に国内版CDとして「John Coltrane / The Outer World」が発売され、ブレイクダウンやフォルススタートとなったテイクが収録された。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2022年3月20日掲載)