2023年3月1日掲載

Michel Legrand
Legrand Jazz
Columbia原盤
1958年6月録音

コルトレーン参加曲解説

 ミシェル・ルグランは1932年パリで生まれたピアニスト、作曲家で、映画「シェルブールの雨傘」を初め数々の美しい名曲の作者として世界的に有名である。又ジャズ・ピアニストとしても優れているばかりでなく、ストリングス・オーケストラの指揮編曲者としてフレンチ・ポップスの隆盛を促す多くのムード音楽アルバムを世に送った。

 以上は私が持っている1987年発売の国内盤CDにある、瀬川昌久氏の解説からの引用です。音楽界における世界的な大物で、26歳のルグランがハネムーンで訪れたアメリカで、このアルバムが制作されました。

 そしてその制作内容に大物ぶりがわかるものです。6月25日にはマイルスやコルトレーンなどの名前の知れたジャズマンを11人集めて4曲、6月27日にはベン・ウェブスターやハービー・マンと共にトロンボーン奏者4名などで4曲、最後となる3日目の6月30日にはアート・ファーマーやドナルド・バードなどの4名のトランペット奏者などを集めて3曲を録音しました。 

 ちなみにコルトレーン参加の6月25日に収録された4曲は次の通りです。
Wild Man Blues
‘Round Midnight
The Jitterbug Waltz
Django(コルトレーン不参加)

 コルトレーン参加曲に関しては、「今日のコルトレーン」をお読み下さい。

 参加ミュージシャンの個性を生かしながら、都会的な魅力の中で雰囲気と感性が絶妙に重なり合うアレンジで、気持ちよく聴かせる一枚に仕上がっています。その中にあって、「Django」と「’Round Midnight」ではマイルスの存在感を重く強く押し出してのアレンジになっており、マイルスの大物ぶりにも感心する内容となっています。

 なお私が持っている国内盤CDには、1962年に再びNYを訪れて制作されたアルバム「ルグラン・ビッグ・バンド・ジャズ、フォー・リチャード・ロジャース」から3曲が追加されており、そちらも楽しめる大編成での演奏でした。