2023年3月2日掲載

Miles & Monk At Newport
Columbia原盤
1958年7月録音

コルトレーン参加曲

 このジャケットでこのアルバム名ですから、ニューポート・ジャズ祭でマイルスとモンクが共演したアルバムと思い購入し、違っていたことにガッカリしながらも、その内容に引き込まれたことがジャズを聴き初めたばかりの時にあった方は、多いことでしょう。私もそんなジャズ青年でした。

 それに加えて本作を誤解する点として、演奏した年の違いがあります。マイルスは1958年7月3日、モンクは1963年7月4日のニューポートでの演奏が、本作品に収録されています。

 1964年に発売された本作品収録から漏れた演奏は、割と早い時期から世に出ていました。それをコンプリートの形でCD2枚組にしたものが、1994年に発売されました。

マイルス
Ah-Leu-Cha
Straight, No Chaser
Fran-Dance
Two Bass Hit
Bye Bye Blackbird(追加曲)
The Theme(追加曲)

モンク
Criss-Cross(追加曲)
Light Blue(追加曲)
Nutty
Blue Monk
Epistrophy(追加曲)

 マイルスはコルトレーンにアダレイ、そしてビル・エヴァンスが加わっての演奏です。

 モンクは、リヴァーサイド終盤期に加わったラウズとの演奏で、クラリネットのピー・ウィー・ラッセルが2曲(Nutty、Blue Monk)に参加しています。

 まずはマイルスですが、詳しくは「今日のコルトレーン」をお読み下さい。
 この年の2月と3月にマイルスは、アルバム「マイルストーン」用のスタジオ録音を行い、タイトル曲ではモードの手法を取り入れ始めています。しかしこの7月のニューポートでの演奏ではそれを封印し、この時期にお客さんが慣れ親しんでいるアルバム、たとえば「リラクシン」のような、この時期のジャズの王道の演奏を行っています。グループ全体とマイルスの演奏に聴き入るのは勿論ですが、このメンバーなので聴き所が散りばめられているライブ演奏です。

 さてモンクですが、1963年にはコロンビアでアルバム「クリスクロス」の制作を行っており、ラウズとの蜜月時代とも言えるのでしょう。そんなことがこのニューポートで演奏された「Criss-Cross」や「Light Blue」に感じ取れます。そしてこの日にゲスト参加となったクラリネット奏者のピー・ウィー・ラッセルとの2曲ですが、個性の塊のモンクとジャズ心漂うラウズのバンドに、スウィングの楽しさをラッセルが加えています。これがジャズ祭の企画モノとして成功なのかは別にして、共に10分を超える演奏時間のこの2曲を、楽しめるこのにしています。

 たっぷりした内容のCD2枚組ですと、マイルスとモンクをくっ付ける必要があるのかとの思いが増しますが、それ以上にジャズ界重要人物の二人の演奏に満足できることを喜びます。