2022年8月5日掲載

John Coltrane
Offering: Live At Temple University
impulse!原盤
1966年11月録音

各曲解説「今日のコルトレーン」

 コルトレーンが残した演奏の”大発見”や”発掘”はいくつもありますが、今日取り上げる1966年11月のテンプル大学での演奏が2014年に発売されたのは、大きな出来事でした。

 先ずは”大発見”や”発掘”度合いが、非常に高いものと言えます。2005年に刊行された「The John Coltrane Reference」にこの11月11日の演奏は記載されてません。知られていなかったライブなのです。

 2点目は、1966年のコルトレーンの活動を知る重要な音源であることです。1966年のスタジオ活動には大きな注目点はなく、従って1966年のコルトレーンを知るには、ライブでの演奏となります。
 5月24日のヴィレッジ・ヴァンガードでの演奏は、1966年11月に発売されました。7月の日本公演は、1973年と1977年に発売されました。

 コルトレーン・ファンが聴ける1966年のライブ演奏は、40年弱にわたって、5月と7月の演奏だけでした。それが2014年に11月の演奏が聴けるようになったのです。これは、1966年のコルトレーンを知る上で、貴重なものです。
Naima
Crescent
Leo
Offering
My Favorite Things

 各曲については「今日のコルトレーン」をお読みください。

 1966年の「My Favorite Things」の演奏ですが、5月28日のヴィレッジ・ヴァンガードでは計26分27秒(内、ベース独奏6分)、それが2ヶ月後の7月22日の東京厚生年金会館では計57分13秒(内、ベース独奏15分近く)となりました。常に変わり続けているコルトレーンの演奏が、どんどんと演奏時間が長くなっていくコルトレーンの演奏が、日本公演以降はどうなっていったのかは、コルトレーン愛好家の関心ごとでした。

 その「My Favorite Things」ですが、この11月11日では計23分12秒(内、ベース独奏4分弱)となっています。これらのことからだけで判断するならば、コルトレーンの演奏時間が長くなっていくのは、日本公演が特別な時期だったと言えるのでしょう。

 1966年の日本公演以降のライブで、演奏記録は確認出来るが音源は世に出ていないのは、次の通りです。

7月26日ー8月7日
ジャズ・ワークショップ、サン・フランシスコ

8月12日
ヴィレッジ・シアター、ニューヨーク

10月7日
Kresge Auditorium、マサセッチュー工科大学

10月30日
ヴィレッジ・ゲイト、ニューヨーク

11月7日(多分)
アドヴォゲイト教会、フィラデルフィア

 いつの日にか、これらの演奏が聴けることになることを、願っております。