19661111-04

Offering
(John Coltrane)
(4分19秒)



【この曲、この演奏】
 1967年2月15日にヴァン・ゲルダー・スタジオで行われた、ファラオ抜きのカルテットでのセッションでこの曲が、演奏されていました。その演奏は1967年9月頃にアルバム「エクスプレッション」として世に出ました。

 それよりも数ヶ月前となる本セッションでの演奏ですが、、コルトレーンのテナー・サックスが、静かな祈りのこの曲のテーマを、そしてそこから繋がる世界を、心を込めて演奏している。バックの録音レベルが薄い事により、コルトレーンの独創のような感があります。これが3分強続いた後に、リズム陣の演奏となり、ベースの独奏になって「My Favorite Things」の演奏に突入していきます。

 この神への供物「Offering」は、「My Favorite Things」の序曲のような存在です。




【エピソード、本セッションのCD発売】
 資料07によればこの日のテンプル大学での演奏は、フィラデルフィアにある WRTI-FM というラジオ局で放送された。
 Wikipediaによれば、このラジオ局はペンシルベニア州立テンプル大学によって運営されている公共放送であり、現在も活発に活動を行っている。
 放送の中に「You’re Listening to the John Coltrane concert live from Temple University’s Mitten Hall Auditorium on WRTI-FM, 90.1 on your dial in Philadelphia」とのアナウンスがあったと、資料07にある。

 ジャズでもロックでも大物ミュージシャンとなると、数多くのブートレグが世に出てくる。その中身には、ラジオ放送の聴取者録音、エア・チェックを音源としているものが多くあり、コルトレーンも同様である。その意味からすれば、生か録音かは不明であるがFM放送で流されたコルトレーンのこのライブは、早い時期にブートレグとして世に出ていると思うのだが、それは2014年の公式発売であった。

 また発売だけではなく、この日のライブの情報が広く伝わっていなかったことも不思議である。先にも触れたが、コルトレーン研究家がこのテンプル大学でのライブの情報を知ったのは、1995年以降のことである。2008年刊行の資料07にはこのコンサートの情報が掲載されているが、そこに「Offering」と「My Favorite Things」が演奏されたとの記録はない。

 さてブートレグ発売はされていないとしたが、資料07の「Issue Data」には次の記述がある。
CD Cool Jazz 025/100 (no.on inlay), 109 (no. on spine) (John Coltrane – Copehagen 1961 & More)

 この実に怪しげなCDの中に、ネット上に情報が全くないこのCDに、テンプル大学での「Leo」が収録されているとのことだ。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2005年 香港

(2021年9月28日掲載、2021年11月12日追記)