Nature Boy
(E.Ahbez)
(3分22秒)
【この曲、この演奏】
この曲について資料09では、次のように書いている。
エデン・アーベッツ(アーベ)が1946年に作詞・作曲、映画「緑髪の少年」に使われ、翌年ナット・キング・コールによって紹介され大ヒットした。「ネイチャー・ボーイ」とは、自由奔放に生きた野生児そのままの放浪の詩人アーベッツが自身のことを歌った曲といわれている。
また資料14では次の通りだ。
この曲を書いたイーデン・アーベスという人はアマチュアのソングライターで、1946年にこの曲を書き、1947年にナット・キング・コールに売り込みに行った。その場でアーベスはナットのマネージャーに追い返されてしまったが、置いていった楽譜を見たナットが気に入り、1948年にレコーディングして大ヒットとなった。イディッシュ・ソング「Schweig Mein Hertz」の盗作だと言うので訴訟までなったという。
因みにネットで調べると、「緑髪の少年」という映画は1948年公開、或いは1949年公開との情報がある。
この曲のコルトレーンの演奏記録であるが、最初のものが本セッションである。その後の1965年に、コルトレーンはこの曲をスタジオで3回のセッションで取り上げた。
1965年2月17日録音 1978年に発売
1965年2月18日録音 1965年に発売 A(S)-85 カルテット・プレイズ
1965年3月28日録音 1965年に発売 オムニバス
他にもライブでの演奏記録がある。(資料07より)
ここではコルトレーンはテナーサックスで演奏し、またマッコイはお休みです。
その演奏ですが、ギャリソンのベース・ラインが繰り返される中、エルヴィンのドラムがスリリングさを加え、そこにコルトレーンが見えないものを求めるかのような演奏を行っています。ここでのコルトレーンの演奏を聴いていると、これから先の彼の姿を予見しているように感じました。
【エピソード、2005年に発売されたはずのセッション】
ネイマ家が保有する35巻のテープ(本セッションを含む)を始めとするコルトレーンに関するものを、2005年2月20日のオークションにかけようとしたが、Verve/Impulse! からの訴えで中止になったことは、以前にこのコーナーで触れた。
2018年に発売された本セッションのCDに、藤岡氏がこの後のことについて興味深いことを書いているので、引用する。
(出品が中止となり)そこで筆者は、サイーダ(ネイマの娘)をレコード会社に連れて行き担当者のケン・ドラッカーに紹介した。だが、レコード会社の人事異動が激しく、以降10数年お蔵入りしてしまった、というのが「未発表=The Lost Album」の真相である。幸運にもヴァーヴをしばらく離れていたケンが近年同社に復帰してこのプロジェクトが再浮上した。
この「未発表=The Lost Album」(国内盤CD)の帯に、「アメリカ音楽史の幻の遺産、奇跡の発掘!」とある。これが2005年、或いは翌年の発売ならば、この仰々しい謳い文句にも意味がある。しかし、ネイマ家がこのテープを保有していることは、2005年には世間に情報が出ていたし、少なくとも資料07が発売された2008年以降は、多くのコルトレーン・ファンが知ることになっていたのだ。
【ついでにフォト】
2005年 香港島 トラム
(2021年3月29日掲載)