My Favorite Things
(R.Rodgers – O.Hammerstein)
(20分20秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンのライブの定番曲、そして1961年欧州ツアーで最後に演奏される曲の登場です。ここでもドルフィーはフルートで参加しています。
ストックホルムでの演奏と意識してきくと、北欧の海と断崖に広がる平原での、穏やかな姿から厳しい姿までの自然の変化を感じながらこの演奏を聴きました。聴く方それぞれが頭の中にイメージを思い浮かべることでしょう。それだけの力を持った演奏です。
演奏構成は20日のコペンハーゲンや22日のヘルシンキ同様です。コルトレーンのソプラノがテーマを2分15秒演奏し、マッコイのソロが5分34秒、ドルフィーがフルートで6分29秒、そして再びコルトレーンが登場して最後まで6分間の演奏となります。
私は、ドルフィーのソロで3回目のテーマを吹出し、そこにコルトレーンのソプラノが重なり、そのままコルトレーンのアドリブ・パートになっていくところに、大いに惚れ込んでおります。
【エピソード、ダウンビート誌での批評 1962年4月 その2】
一九六一年十一月二十三日号のダウンビート誌上で、タイナンは次のように述べた。「先ごろ私はハリウッド・ルネッサンス・クラブにおいて、今、勢いを増しつつあるアンチジャズ(非ジャズ)の流れを体現する、アヴァンギャルドと称される音楽の一番の提唱者たち(コルトレーンとドルフィ)による、おぞましいパフォーマンスを耳にした」
「リズム・セクションは悪くないが・・・・・二つのホーンの虚無的なパフォーマンスがすべてを台無しにしていた。コルトレーンとドルフィは意図的にスウィングの破壊をもくろんでいルカのようだった。彼らは音楽的アナーキストの道を追求することに決めたらしい。その音楽はアンチジャズとしか呼べないものだ」
アンチジャズという言葉はレナード・フェザーによって取り上げられ、ダウンビート誌やショウ誌において、コルトレーンやドルフィ、オーネット・コールマン、それに”斬新”なものを総合的に批判するエッセイの基礎となった。
タイナーとフェザーの意見に対し、読者は即座に熱っぽく反応した。見解はほぼ真っ二つに分かれた。
ダウンビート誌、一九六二年四月十二日号、20~30ページより (資料04)
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2022年8月21日掲載)