Impressions
(John Coltrane)
(7分16秒)
【この曲、この演奏】
11月18日のパリ公演では前半の部の1曲目に、そして11月20日のコペンハーゲンと11月22日のヘルシンキでも演奏されたこの曲ですが、この11月23日のストックホルムでも演奏されました。他の日と同様に、ここでもドルフィーはアルト・サックスで演奏しています。
この曲は11月22日に演奏構成を変えました。この23日は22日と同様の構成で演奏しています。30秒ほどのテーマ、コルトレーン3分弱、ドルフィー2分ほど、再びコルトレーンの1分強のソロとなり、1分弱のテーマで演奏は終わっていきます。マッコイのソロはありません。
この日の演奏は実に引き締まった演奏で、贅肉を削ぎ落としたかのものです。それはコルトレーンとドルフィーの、気を呑まれるほどの演奏にあることは言うまでもありません。
【エピソード、音源の発売について】
22日間31公演の1961年欧州ツアーの中で、音源を聴けるのは4公演ある。その中で、1970年代にブートレグで発売されたのが、この11月23日のストックホルム公演だ。それはヒストリカル・パフォーマンスから発売されたLPレコードだ。ペラペラ紙の貧相なジャケットというよりは、色紙でのレコード入れで発売された。前半の部は赤い色紙、後半の部は白い色紙に包まれて発売された。この発売から10数年後までは、1961年の欧州ツアーで聴くことができたのはこの日だけであった。
余談だが、1980年に入ってからジャズを、そしてコルトレーンを聴き始めた私は、結構な値段でこの赤と白の紙に包まれたレコードを中古で購入したものであった。なお資料07によれば、ヒストリカル・パフォーマンスはこの日の公演をラジオ放送したスウェディッシュ局から音源を購入したとある。ただし発売方法からすれば、権利関係者から発売権を得ていたとは考えられないものだ。
その後、この日の音源はいろんな正体怪しいブートレグして、CD発売されていた。そんな中で、2001年パブロから「John Coltrane / Live Trane – The European Tours」というCD7枚組が発売された。これは1961年、1962年、そして1963年のコルトレーンの欧州ツアーの演奏を収めたものである。その中にこの日の演奏の前半と後半が収録されている。
このパブロの7枚組では、この日の演奏を「世界初登場曲」としている。これは権利を得ての発売は初めてとのことだ。コルトレーン・ファンはヒストリカル・パフォーマンスのLPレコードで、この日の演奏は慣れ親しんだものになっていた。
またこのパブロの7枚組では、データー記載間違いが散見される。例えばこの日の後半の演奏については、11月18日のパリ公演だとしている。また11月25日のハンブルグ公演と記載されている3曲があるが、これは1962年2月10日のバードランドでの演奏だ。
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2022年8月20日掲載)