In Walked Bud
(Thelonious Monk)
(11分6秒)
【この曲、この演奏】
モンク作のこの曲ですが、恐らくは1957年のファイブ・スポット長期出演で演奏いていたのでしょうけれど、資料07にある演奏記録はこの日の演奏だけです。
さて演奏ですが、ヘインズのドラムスの強烈な切れ味で勢いあるテーマとなり、コルトレーンの5分弱のソロへと続きます。序盤はグニャグニャして方向が定まらない雰囲気ですが、徐々に陰の世界があるこの曲にあった演奏へとなっていきます。このコルトレーンのソロでは、序盤こそピアノを弾くモンクですが、すぐに手を止めています。
続くモンクのソロは3分半ほどのもので、コルトレーンとの再会を喜んでいるかの雰囲気が伝わる演奏です。
1分ほどのヘインズのソロがあり、テーマの演奏となり、この曲の演奏が終わっていきます。
【エピソード、グリフィンの代役にコルトレーン】
セロニアス・モンクの1958年ファイブ・スポット長期出演のサックス奏者は、ジョニー・グリフィンとなった。当時はリヴァーサイドに所属していたグリフィンなので、このモンク・カルテットのファイブ・スポットでの演奏は公式録音され、2枚のライブ・アルバムで発売されている。
長期出演となれば、グリフィンも出演できない日もある。そしてこの9月11日は、グリフィンの代役がコルトレーンとなった。その経緯についてオリン・キープニュースが、資料19に次のように書いてある。
ファイブ・スポットにおける(モンクの)2年目の長期出演ではジョニー・グリフィンがレギュラー・メンバーで、そのテープ(この9月11日)が録音されたときは彼が代役をコルトレーンに頼んでいる。グリフィンはその前に一度、明らかに腕の落ちるテナー奏者を代役に起用したが、モンクから、ひと晩のことだとしても代役はコルトレーンかソニー・ロリンズのどちらかにして欲しいといわれたのであった。
グリフィンにはロリンズとの共演歴はないが(資料08)、コルトレーンとならば1957年4月6日にブルーノートでの自分のリーダー・セッション(A Blowing Session)で共演している。これからすれば、グリフィンが最初にコルトレーンに声を掛けたことは容易に想像できる。
【ついでにフォト】
2013年 みなとみらい
(2022年6月12日掲載)