Blue Train (take 3)
(John Coltrane)
(10分39秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーン作の曲はと聞かれて、真っ先にこのコルトレーン作の魅力あるブルース・ナンバーを言う方も多いことでしょう。アルバム「ブルー・トレイン」はその内容と共に、ブルーノートの1500番台作品として知名度は抜群のためなのでしょう。
この曲はこのセッションで初めて演奏されたものですが、1960年になってからコルトレーンはライブで頻繁にこの曲を演奏し始めました。それは1961年秋のドルフィー入りバンドでの欧州ツアーで顕著となり、それらのいくつかはブートレグで聴くことができます。ただしこの欧州ツアー終了後には、この曲の演奏記録はありません。(資料07より)
このセッションでは3回の演奏が残っており、今ではどれも聴くことができます。その中でアルバム「ブルー・トレイン」に収録されたのは、この3回目の演奏です。
三管での印象に残るテーマで演奏が始まり、コルトレーンのソロとなります。このソロはこの時期のベスト・プレイとも言えるもので、中盤で2管がバックでリフを重ねていく展開も素敵なものです。それに続くのはモーガンのトランペットで、落ち着き気味に入り、徐々にキラキラと輝かせていく演奏は、さすがは若き人気者と思わせます。そしてフラーのトロンボーンでのソロは、この楽器でここまで流れるような演奏と感じるものです。ここまでの展開で、ホーンセクションそれぞれの楽器の音色の魅力を示しているのも印象深いものです。
ソロはドリューのピアノ、チェンバースのベース(ピッチカート)と続き、あとテーマとなり、この時期のモダン・ジャズ界の名場面の一つの演奏が終わっていきます。
【エピソード、シングル発売 その2】
「Moment’s Notice」同様に、このアルバム名になった「Blue Train」はシングル発売された。規格番号はBlue Note 45-1691と「Moment’s Notice」よりも若い番号なので、こちらが先に発売されたものと思う。ラジオ局で放送してもらうため、ジュークボックスに入れてお店で流すためが、シングル発売の理由だったのであろう。
この「Blue Train」も「Moment’s Notice」もその演奏時間から、EP盤のA面とB面に分かれて1曲が収録されている。ラジオ局で放送されるのはA面だけだ。ならばドーナッツ盤片面で収まる尺での演奏とすればと思ってしまいますが、他に何かの事情があったのであろうか。
この「Blue Train」3回目の演奏だが、LPレコードが先に発売なのかシングル盤が先なのかは不明である。
【ついでにフォト】
2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア
(2022年2月20日掲載)