Trinkle, Trinkle
(Thelonious Monk)
(6分37秒)
【この曲、この演奏】
モンク独特の複雑な構成のこの曲ですが、1958年9月11日のファイヴ・スポットでの演奏が発売されています。
この演奏について資料09には次の記述があります。
「この曲の演奏こそコルトレーンがモンクの下で得た様々な知識の集大成といってもいいだろう。コルトレーンならではのアーティキュレーションによって複雑極まりない音符の群れを見事に交通整理してゆき、リズミックな動きを明確に表現している」
技術的に深いことをやっていながら、それを聴く者には音楽の楽しさを感じさせる、コルトレーンのソロです。続くモンクのソロには、コルトレーンを理解してきた御大の心が溢れている演奏です。そしてウェアのベース・ソロには、このカルテットでの自分の立ち位置がわかってきたことを感じさせます。
コルトレーンがモンクのバンドで行ったリヴァーサイドでの四日間の演奏は、これで最後となります。そして年末までの長期間のファイヴ・スポット出演へと移っていきます。この最後の演奏を聴いていると、そこでの充実ぶりが伺えます。
【エピソード、コルトレーン語録 その2】
「モンクと一緒にやるときは、一瞬たりとも気が抜けない。常に彼の演奏に注意を向けていないと、突然エレベーター・シャフトに突き落とされた感覚に陥る」
これはアルバム「ジャイアント・ステップス」のナット・ヘンフ著のライナー・ノーツにある、コルトレーンの発言だ。(資料04より)
緊張感があるからこそ、素晴らしい演奏が生まれるのであろう。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2022年1月29日掲載)