19570626-1314

Epistrophy
(Thelonious Monk)
(take 1 2分18秒、take 2 10分42秒)



【この曲、この演奏】
 このモンクの有名曲ですが、コルトレーンの演奏記録は本セッションの他には、モンク・カルテットでのライブ演奏を録音した、次の二つの発掘アルバムに収録されています。

1957年11月19日 カーネギー・ホール
1958年9月11日  ファイヴ・スポット(グリフィンの代役)

 この日のスタジオ・セッションでは、2回この曲が演奏されました。2回目の演奏は最後まで演奏され、アルバム「モンクス・ミュージック」に収録され1957年11月に発売されました。

 1回目の演奏は少し複雑な経緯があり、今に至るまで2つのバージョンが世に出ています。この1回目の演奏は、コープランドのソロの直後に演奏が中断した(資料19)とのことです。資料07によれば、その演奏時間は2分18秒とのことです。この演奏そのままの音源は、私が確認した限りでは、発売されていないようです。そしてこの2分18秒が加工されて、次の「フラグメント」と「ショート・ヴァージョン」の二つに加工されて、世に出ました

-01 take 1(フラグメント)(1分44秒)
 これはテーマが演奏され、コルトレーンに続くコープランドのソロの途中でフェイド・アウトしたものです。1988年発売の箱物に収録されていますが、最初に発売されたものは確認できませんでした。

 賑やかなこの曲を、荒削りでもあり刺激的でもある4管の重なりでテーマを演奏したのちに、程よい刺激さのコルトレーンのソロで演奏しています。コープランドにソロが移り、軽く拭いた後にこれから力を入れるというトランペットの響きになったところで、フェイドアウトしていきます。

-01 take 1 & -02 take 2(ショート・ヴァージョン)(3分6秒)
 資料19で使っていますので、ここでも「ショート・ヴァージョン」と記載します。
 これは「take 1」のトランペット・ソロに「take 2」のトランペット・ソロを繋げ、さらに「take 2」の後テーマ部を繋げたものです。(資料07)
 1961年にアルバム「モンク・ウィズ・コルトレーン」に収録され、発売されました。

 コープランドのソロ間の繋ぎ目、そこからエンディングへの繋ぎ目は私には一切わからない、プロの編集仕事です。アルバム「モンク・ウィズ・コルトレーン」でこの曲を聴いて、なぜソロはコルトレーンとコープランドだけなのと、感じた方も多いことでしょう。

-02 take 2(10分42秒)
 この2回目の演奏は編集なしで、1957年発売のアルバム「モンクス・ミュージック」に収録されました。

 あくまでテイク1との比較ですが、テーマ演奏の4管に少しの投げやり感がありますが、モンクとブレイキーの喝のような演奏で、4管は熱を帯びていきます。続くコルトレーンのソロには、テイク1よりも表現を深くしているものを感じました。コープランドのトランペット、グライスのアルト、ウェアのベース、ブレイキーのドラムス、ホーキンスのテナー、そしてモンクのピアノと、それぞれの個性が発揮されているソロが続き、テーマを再び演奏し、エンディングとなっていきます。

 なおブレイキーのソロの途中でホーキンスが吹き始める部分があり、これを「ホーキンスは出を間違える有名エピソード」(資料09)との捉え方もありますが、私には御大ホーキンスの遊び心と感じています。




【エピソード、テイク1の扱いについて】
 「エピストロフィー」の短いヴァージョンを演奏したときだ。コルトレーンとコープランドが素晴らしいソロをソロを吹き終えた直後に演奏が中断された。わたしたちはこれらのソロをキープすることを希望し、実際にこの演奏は、ファイブ・スポットでのオリジナル・クァルテットが録音した3曲をフューチャーしたアルバムにも収録されている。それゆえ、ほぼ完璧に近いこの演奏もリスナーにはお馴染みのものになっている。(資料19)

take1 は15枚組箱物ジャケを入れる(初ではない)

take 1 & 2(ショート・ヴァージョン)初収録アルバム
take 2 初収録アルバム
take 1 初収録アルバム

【ついでにフォト】

2010年 タイプーサム、ペナン、マレーシア

(2022年1月25日掲載)