19560511-06

Woody’n You
(Dizzy Gillespie)
(5分4秒)



【この曲、この演奏】
 このビ・バップの名曲をコルトレーンは、資料07によれば計6回演奏しています。2回はプレスティッジでのスタジオ録音であり、最初は本セッション、2度目は1957年11月15日のガーランドのリーダー・セッションで、アルバム「ソウル・ジャンクション」に収録されています。またマイルス・バンドでのライブでは、1956年2月18日のライブでのこの曲の演奏が2005年に公式発売されています。他の2回のマイルス・バンドでのライブ演奏は、私家録音があるようです。

 興味深いコルトレーンの「Woody’n You」は、1958年9月25日の演奏です。Joe Brazil(as)の元に7人のミュージシャンが集まって、彼のデトロイトの家の地下で演奏されたものです。ジョー・ブラジルはサックス奏者というよりも教育者としての活動が有名なようです。一般的に彼の名をジャズ・ファンに知らしめたのは、彼の家の地下に多くのミュージシャンを集めての演奏でした。この1958年9月25日もそんな1日で、どのような経緯か分かりませんがコルトレーンも参加しています。この演奏の存在が明らかになったのは、このセッションに参加していたジョー・ヘンダーソンのSFの家で、このセッションのテープが1991年9月28日に発見されたからでした。これは資料06の調査過程でのことだったようです。
 コルトレーンとジョー・ブラジルはこの後も関係していきますが、それは別の機会に触れます。

 マイルスには多数回のこの曲の演奏記録があると思っていましたが、資料08によれば6回でした。

 この曲はガレスピーが、タップ・ダンスのバックで演奏するウディ・ハーマンのために書いた曲だと、資料14にあります。マイルスはビ・バップ真っ只中の時に活躍した人、コルトレーンは数年間に渡りガレスピー楽団やその後のガレスピー・セプテットのメンバーでしたので、上記演奏記録は別にして、ガレスピーと何度もこの曲を演奏したことだと思います。

 そんな曲をマイルスはオープン・トランペットで、コルトレーンはリズミカルなテナー演奏を聴かせています。それはビ・バップの香りというより、ハード・バップの勢いを感じるものです。
(2021年8月23日改訂)




【エピソード、少年時代に野球に夢中】
 資料01によれば、少年コルトレーンは一番好きだったスポーツは野球だったとのこと。休憩時間になるとプロ野球の成績を聞き、また仲間たちとあらゆる空き地で野球をやっていたのである。他の仲間は投手や外野手などのポジションへのこだわりがあったが、コルトレーンはポジションへのこだわりはなく、ただ野球を楽しめれば良いという態度であった。
 またこの野球のおかげで、ハイポイント地区にあった白人と黒人の微妙な人種的差別の壁を一時的に乗り越え、白人居住区で野球をすることがあった。

 この野球に関しては資料05では、違う記述がある。クラスメイトが野球やフットボールに熱中する中、コルトレーンは雑誌に載る楽器の広告ページを眺めているような少年だったとのことである。

 これは両資料での時期の違いなのかもしれない。

初収録アルバム

【ついでにフォト】

2005年、香港

(2019年1月29日掲載、2021年8月23日改訂)