Slow Dance
(Alonzo Levister)
(5分27秒)
【この曲、この演奏】
またまた渋い曲を選びました。ウィキペディアによれば作者のアロンゾ・レヴィスターは1925年生まれで、作曲家やプロデューサーとして活躍したピアニストです。彼が目につく仕事をし始めたのは1955年からであり、この曲は1956年に世に出た曲のようです。そんな曲に目をつけたのはコルトレーンなのかどうかは分かりませんが、良い曲を探る嗅覚はさすがのものです。
そんな曲ですが、資料06によればコルトレーンの演奏記録は本セッションだけです。
ベースの重い響きで始まる演奏は、重厚さの中でコルトレーンが歌い上げていくもの。スローテンポの中でしっかりと自分の演奏を貫き通せるコルトレーンの演奏に充実が感じられます。マイルスバンドでの経験がここに花開いているようです。またガーランドの演奏もなかなかのもの。
資料11ではこの曲を「いま一つのコルトレーン作のバラード」としています。間違いは確かなのですが、コルトレーンが世に拾い上げたバラッドの名曲という意味では正解ともいえるでしょう。
【エピソード、1947年 クリーンヘッド・バンドでの活動】
クリーンヘッドのバンドは、独自のユニークな演出で観客の心を掴んでいた。演奏の途中でアルトとテナーを交換して同じように演奏いたりなどのものであった。
その演奏の中身はR&Bが基本だが、パーカーのヒット曲も演奏していた。クリーンヘッドは軽快なスタイルのすぐれたテクニシャンで、音を曲げたり途切れなく続ける奏法を、コルトレーンは大変気に入っており、そのテクニックを学ぼうと努めていた。
クリーンヘッドもまたコルトレーンの豊かに調和のとれたスタイルを発展させていたことに、学ぶべき点を見つけていた。コルトレーンはいつもクリーンヘッドにコードについて質問を投げかけ、クリーンヘッドはそれに熱心に説明していた。
このバンドではクリーンヘッド作の、トリッキーで変化のある早いブルース曲「チューン・アップ」をよく演奏していた。コルトレーンはそれに魅せられ、後年に一部だけコード進行を変えて「カウントダウン」という曲名で自分のバンドで演奏していた。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2019年8月29日掲載)