Rudy, My Dear
(Thelonious Monk)
(6分18秒)
【この曲、この演奏】
モンク作の愛おしい子のバラッドですが、コルトレーンのスタジオ録音はこのセッションだけです。ファイヴ・スポットでの長期出演で何度も演奏された思われ、2006年に発売されたブートレグにあるこの曲は、実は1957年7月のファイヴ・スポットの演奏と、資料07ではなっています。
さて演奏ですが、モンクのピアノに寄り添いながら、コルトレーンは自分のバラッド演奏の極みにここで達したかのような素晴らしい演奏となっています。この時期のコルトレーンはプレスティッジ・レーベルで数多くの素敵なバラッド演奏を行っていますが、共演者との違いで光り方が違ってくることを、ここで確認できます。
多くの方が行っているこの演奏の楽しみ方は、コールマン・ホーキンスとの聴き比べです。6月26日のセッションでの最後の演奏曲はこの「Rudy, My Dear」でした。そこではホーン奏者はホーキンスだけとなり、演奏構成もこの7月のものと同じです。そうすると必然的にホーキンスとコルトレーンのバラッド演奏での個性の違いを楽しめるもので、何度聴き比べても飽きるものではありません。
ジャズ界には数多くの名場面がありますが、ホーキンスとコルトレーンという代表的なテナー奏者が、それぞれモンクと繰り広げていくこの展開は、ジャズ界の名場面と言えるのでしょう。
【エピソード、このセッション、日付】
コルトレーンとモンクは、リヴァーサイド・レーベルで、四日間のスタジオ録音を行ったが、ワン・ホーンでの演奏は、最後のスタジオ・セッションとなる本セッションだけである。
モンク・カルテットの1957年のファイヴ・スポット出演期間は、次の通りである。(資料07)
1957年7月18日から8月(多分28日)
1957年9月5日から11月6日
1957年11月21日から12月26日
コルトレーン以外のメンバーは不明確であるが、その初期のメンバーは、ウィルバー・ウェアとシャドウ・ウィルソンであった。
このスタジオ・セッションについては、7月或いは8月、でも多分7月、と言われてきた。資料07にはウィルバー・ウェアの行動記録から、彼がファイヴ・スポットに参加した期間を含め、このスタジオ・セッションは7月18日から8月12日と特定できる。そして資料18にあるオリン・キープニュースの「ファイブ・スポット出演のごく初期のもの」とあることから、このスタジオ・セッションが行われたのは、「推定7月」というのが一般的になっている。
【ついでにフォト】
2009年 みなとみらい
(2022年1月27日掲載)