Dear Old Stockholm (take 2)
(Traditional)
(7分47秒)
【この曲、この演奏】
コルトレーンはこれから7年後の、インパルス!在籍時の1963年4月29日のスタジオ・セッションで、スウェーデンに古くから伝わるこの曲を演奏しました。
このセッションではこの曲をこの日に6回演奏しています。セッションの最初に5回、セッションの終わりに1回です。その6回の中で最後まで演奏したのは3回あります。6回の中では2番目、最後まで演奏の3回の中では最初の演奏が、このテイクとなります。
ジャズの歴史の中で数多くの演奏が残されている曲ですが、ここでの演奏がその決定打といるのでしょう。キーンと張り詰めた緊張感の中でのこの演奏は、何度聴いても惹き込まれるものがあります。
リズム人から始まり、マイルスのミュートが輝きを放ちテーマを演奏し、すぐにチェンバースのピッチカートによるソロに移ります。その後にコルトレーンが続き、最後はマイルスのソロで終わるという内容です。
ジャズ界の宝というべき演奏です。この演奏が本テイクとなり、アルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」に収録され、1957年3月に発売されました。
【エピソード、本セッション】
1955年10月26日に、コロンビア・レコーディングで最初のアルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」のためのセッションが行われ、それから7ヶ月後の二度目のセッションがこの日のものである。
この7ヶ月の間にコルトレーンは6回のスタジオ・セッションを行っている。
1955年11月16日 プレスティッジ マイルス・デイヴィス
1956年3月2日 ジャズ・ウェスト ポール・チェンバース
1956年4月20日 トランジション ポール・チェンバース
1956年5月7日 プレスティッジ エルモ・ホープ
1956年5月11日 プレスティッジ マイルス・デイヴィス
1956年5月24日 プレスティッジ ソニー・ロリンズ
レーベルを無視すれば、このセッションはこのマイルス・クインテットとしては4回目のスタジオ・セッションとなる。その中の5月11日はマラソン・セッション前半であり、実に14曲を演奏していた。その意味ではこのセッションでは、すでにメンバーの息は合っていたと思われる。
この日には3曲が演奏され、どの曲もアルバム「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」に収録されている。
【ついでにフォト】
2010年 ペナン、マレーシア
(2021年12月18日掲載)