Untitled Original 11386 (take2)
(John Coltrane)
(8分35秒)
【この曲、この演奏】
リズミカルで叙情的なこの曲の、テイク2です。
全体的にはテイク1を踏襲した演奏ながら、コルトレーンのソロの際にマッコイのピアノを控えめにさせたことが影響したのか、マッコイのソロに精彩が欠け、それが後半の流れにも影響を与えています。このことから、更にテイクを重ねていったのでしょうか。
【エピソード、バーバラ・ガードナーの記事 その5】
腹をくくったコルトレーンはすぐさま、自身のフラストレーションの核心部分と対峙する。そして二つの破滅的な習慣・・・アルコール依存症と麻薬中毒・・・を断つことで、健全な心と体を取り戻した。これはジョン・コルトレーンの人生における分岐点になったばかりか、彼の強靭な精神力の証明にもなった。
「自分がどこに行こうとしているのか、はっきりと口にしたことはなかった」とマイルス・グループで同僚だったキャノンボール・アダレイは振り返る。「コルトレーンはただ仄めかすだけでね。人間的にも音楽的にも、すべてをそっくり変えたいんだってさ」
「彼はある日突然、ジョン・コルトレーンのイメージを塗り替えようと決意した。心と体が変化していくその過程で、音楽面ではモンクと出会った。モンクとは一年近く一緒にやった。彼が今プレイしていることの大半も、その頃耳にしたことだと思う」
アダレイは、コルトレーンの音楽的方向性を決定づけたその強い信念について、ごくありふれた賛辞を口にした。
「脱帽するしかないよ。成功の真っただ中にありながら、コルトレーンは自分のプレイに虚しさを覚えて先へ進む決意をした。そして頭の片隅にずっとあった思いを掘り下げることにしたんだ」
(資料04より)
2006年 香港島 トラム
(2021年4月14日掲載)