Polka Dots And Moonbeams
(Van Heusen – Blake)
8分40秒
【この曲、この演奏】
資料11によれば、この曲はシナトラのために書かれて物で1940年に大ヒットしました。YouTubeでその歌声に接しましたが、暖かく甘くセクシーな歌声で、優雅にこのバラッドを聴かせてくれました。
この大ヒットの後に、多くのジャズマンがこの曲を取り上げています。パウエルやエヴァンス、そしてアル・ヘイグ等の名演があり、ピアニストに愛された曲です。そう見ると、このセッションではホープがこれを選んだのでしょうか。しかし多くのサックス奏者もこの曲を取り上げており、その意味では全員一致で、このバラッドを演奏したのかもしれません。
そして私には意外でしたが、コルトレーンのこの曲の演奏記録は、このセッションだけでした。
さて演奏ですが、3管とピアノがしっかりと聴かせてくれています。3管についてはどれも暖かく聴き入るものですが、甘くセクシーとまではいっておりません。しかしピアノは落ち着いた中に温かく甘い雰囲気を出しています。あくまで歌手シナトラとの比較なのですが、セクシーまで行けば申し分無しでした。
この演奏に関するいくつかのコメントを読むと、バードを褒めたりコルトレーンだったりホープだったりと、焦点の当て方が違っています。聴く人の好み、聴くときの思いによって感想が異なるのでしょう。このような演奏が素敵な演奏だと思ったのと同時に、コルトレーンがこの名曲の演奏を残したことに感謝して聴き終えました。
【エピソード、このセッションのレコード化】
LP7043 「Informal Jazz / Elmo Hope Sextet」
LP7043 「Two Tenors / Hank Mobley John Coltrane」
LP7043 「Two Tenors / John Coltrane & Hank Mobley」
LP7670 「Two Tenors / John Coltrane with Hank Mobley」
資料06では、プレスティッジではこのセッションを4回発売した。
先ずはエルモ・ホープの作品として、恐らくは1957年に発売された。エルモ・ホープはこの時期にプレスティッジにこれを入れて3作続けて吹き込んでおり、これは理解できるもの。
そしてそのジャケに記載されているホーン3人の順番は、バード、モブレー、コルトレーンである。これがこの時期の人気なのであろう。
続いてプレスティッジは番号を変えずにこのセッションを「Two Tenors」というタイトルで、2回発売している。興味深いのはその奏者クレジットであり、「Hank Mobley John Coltrane」から「John Coltrane & Hank Mobley」に変わっていっている。発売時期は分からないのが残念であるが、人気はモブレーからコルトレーンに完全に移っていった。
それが番号を変えて1960年代に入ってから発売されたものでは、「John Coltrane with Hank Mobley」となっており、主役はコルトレーンとなった。
プレスティッジの手を替え品を替えてのなりふり構わぬ販売戦略、私は好きである。
【ついでにフォト】
2005年 香港
(2019年1月7日掲載)