2024年3月10日掲載

Miles Davis
Free Trade Hall Vol. 1
Magnetic原盤
1960年9月録音

 マイルスは、テナー・サックス奏者にソニー・スティットを加えて、1960年秋に欧州ツアーを行いました。私が得ている情報の限りでは、その模様は公式発売はされておりません。しかしながらブートレグでの発売はあり、恐らくはツアー初日の9月27日、マンチェスターの「Free Trade Hall」で行われた演奏の模様は、マグネティックから1990年頃にブートレグ発売されました。2枚に分かれての発売であり、今日取り上げるのはその1集です。クレジットによればこの日は2回公演で、このブートレグCDに収録されているには、次の通りです。

ファースト・コンサート
Four 1
All Of You
Walkin’

セカンド・コンサート
Four 2
All Blues

 リズム陣はコルトレーン参加の春の欧州ツアーと同様で、ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、そしてジミー・コブです。

 会場となったマンチェスターにあるフリー・トレード・ホールは、1856年に完成した風格ある建物で、現在ではホテルとなっているとのことです。(Wikipediaより)

 そして演奏も会場と同様に風格すらあるマイルス・グループの演奏となっており、52分間をたっぷりと楽しめる内容です。

 この1960年秋のマイルス欧州ツアーとなると、どうしてもソニー・スティットの存在と、春のコルトレーンとの比較となってしまいます。確かにマイルスはグループをどう発展させていくかという意味で、ここでのスティットに満足してはいなかったのでしょう。しかし、スティット独自のスタイルで臨んでいる演奏には、私はこれはこれで素敵なものだと思います。恐らくはマイルスの気持ちの中には、この秋はこれで演奏を楽しんでいこうとの気持ちもあったのではと、私は感じることがあります。

 なお「Walkin’」は途中でフェイドアウトとなっています。


 またマグネティックから発売されたこの MRCD 102 には、全曲が初めての発売となっていますが、「All Of You」に関しては、1989年にJazz Upからブートレグ発売されたCD (JU-3209)に収録されていました。わたしはこのを持っていますが、今使っているCDプレーヤー (Accuphase DP-450) では再生できず、この「今日の1枚」で取り上げることは出来ません。