2024年3月7日掲載

Charlie Haden
Silence
Soul Note原盤
1987年11月録音

 チャーリー・ヘイデンのリーダー・アルバムで、参加メンバーは次の通りです。

チェット・ベイカー(tp, vo)
エンリコ・ピエラヌンツイ(p)
ビリー・ヒギンズ(b)

 ヒギンズの参加は自然なものですし、イタリアのレーベルの作品ですのでピエラヌンツイの参加も同様に感じます。しかしヘイデンの作品にチェット・ベイカーが参加となると、オヤっとの気持ちになります。

 ネット上のベイカーのディスコグラフィーによれば、ヘイデンとのレコーディングでの共演は1974年にあります。リー・コニッツ、キース・ジャレット、そしてチェット・ベイカーの3人が共同リーダーとしてクレジットされているアルバムで、Jazz Connoisseur というレーベルから発売されたものです。

 今日取り上げる1987年のソウル・ノートからのアルバムでのヘイデンとベイカーの共演は、レコーディングでは2度目となるようです。

 このアルバムには6曲が収録されており、その中のスタンダード3曲(マイ・ファニー・バレンタイン、ラウンド・アバウト・ミッドナイト、コンセプション)は、録音当時にベイカーがコンサートで頻繁に取り上げていた曲です。そしてパーカー作の「Visa」は、ベイカーがミュージシャンとしてのキャリアをスタートした際に書かれた曲とのことです。(Wikipediaより)

 この選曲にかんする情報からすると、このアルバムはベイカーにある程度の主導権があっ他のかもしれません。

 他の2曲はヘイデン作の名曲「Silence」、そしてピエラヌンツイ作の「Echi」です。

 LPレコードでいうところのA面での演奏は、ヘイデンの力強いベースを軸にして、ピエラヌンツイとベイカーの演奏を引き立てているものであります。特にヘイデンの名曲である「サイレンス」での曲と演奏の美しさは特筆ものです。

 さてB面となると、ベイカーのコンサートでの定番曲との3曲が演奏され、ここではベイカーの存在が軸となっています。「マイ・ファニー・バレンタイン」ではベイカーお得意の歌まで披露しており、その思いが一層強くなります。

 LPレコードではA面とB面で色合いを変えるのは常套手段ともいえ、その意味ではヘイデンの構想が冴えた1枚とも言えます。チャーリー・ヘイデンのアルバムの中で本作品は目立つものではありませんが、ベイカーの哀しき音色のトランペットを含めて本作品を愛聴している方は多いことでしょう。